『堂本剛の素』第2回「クマノザクラ」後編

KinKi Kids 堂本剛、作詞に対する思いを語る 早咲きのクマノザクラから生まれた「逸る桜」秘話

 続けて、「大多数の人を励ましたり、大多数の人を救えるような曲を作ろうとは思ってないから。僕の人生一回で僕しか生きれなくてっていう中で得た、小難しい考え方とか感情ってオリジナリティが強くなるはずだから。僕はそういうものを羅列してまず一回書いてみるっていうか」と剛だからこそ芽生える感性を何よりも大切にしていることを明かす。

 「一人の人生を投影したような詞」を書くことに注力している剛。もしかしたら、作詞は剛にとって身体の一部をそぎ落とす行為に近いのかもしれない。だからこそ、その詞を歌う剛の声は真っ直ぐと私たちの心に響いてくるのだろう。彼の人生を歌という形で開示していくことで、真っ暗な場所で立ち尽くす誰かに光を与える。大衆に向けて書いているのではなく、群衆からはぐれた誰かのために書くという剛は、やはりどこまでも繊細で優しい。そしてきっと誰よりも一瞬だけ輝く桜を憐れみ、思いを馳せている。そんな剛の目から見た桜は、どれだけ悲しくて美しいのだろうか。

(文=朝陽空)

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