米津玄師、『アンナチュラル』主題歌は新たな転機に? 脚本家 野木亜紀子氏との対談から紐解く
「職人になりたい」ーー3月4日に放送されたラジオ特番『米津玄師×野木亜紀子アンナチュラル対談』(TBSラジオ)で、米津玄師が語った言葉だ。
DAOKO×米津玄師名義でリリースした「打上花火」や、菅田将暉を迎えた、アルバム『BOOTLEG』収録曲「灰色と青(+菅田将暉)」など名曲を生み出し続けている米津。ドラマ『アンナチュラル』(TBS系)の中で実に絶妙なタイミングで流れる新曲「Lemon」は、新たな転機となりそうだ。
先述した番組では、米津の口からそんな「Lemon」の制作秘話やドラマとの接点が語られた。米津にとって初のドラマ主題歌である「Lemon」。実はサビの最後を一度録り直していたという。“不自然な死”を扱う『アンナチュラル』にはシリアスな場面も多いが、暗くなりすぎず、毎回どこかに笑えるシーンも盛り込まれているのが魅力の一つだ。「ポップな側面が自分の中に少なかったというか、このままだと暗くなってしまう」という不安から、録り直しという判断に至ったという。米津のプロ意識の高さが滲み出た楽曲と言えるだろう。
また本来であれば一気に集中して楽曲を作るという米津だが、ツアーの合間に少しずつ制作を進めていたところ、祖父の死をきっかけに「そこまで積み上げてきた、自分の中の“人が死ぬ”ことっていう価値観が一回ゼロになった」と語った。こうした言葉の端々から“不自然な死”を解明することで、残された人を救おうとする『アンナチュラル』に寄り添おうとする姿勢が窺える。「自分の曲であると同時にドラマの曲でもある」という言葉には、決意のようなものを感じた。
「あんまり芸術とかアートという言葉が好きじゃなくて。そのものを否定するわけじゃないけど、自分の身の回りのミュージシャンとか見ててもそこに逃げ込む奴が多すぎる」、とは冒頭の言葉に続いた米津の発言だ。歌うこと、絵を描くこと、踊ること……様々な表現に挑戦し続ける彼には、シンガーソングライターという言葉では当てはまらない存在感がある。