KANDYTOWN、16人の“個としての存在感”がもたらす刺激 活発なソロ活動続いた1年を追う
ラッパー、DJ、トラックメイカー、エンジニア、フィルムディレクターなど、多様なスキルを持ったクルーが集まったKANDYTOWN。メンバーのソロでの動きと並行しながら、2014年11月のフリーダウンロード作『KOLD TAPE』を皮切りに、2015年は『BLAKK MOTEL』『Kruise』と2枚のアルバムをストリート・リリース。その後2016年は<ワーナーミュージック>にメジャー移籍し、音楽シーンからの高まり続ける注目度への回答編とも言えるフィジカル・フルアルバム『KANDYTOWN』を11月に発表した。
その意味でも、“集合”の形でKANDYTOWNというクルーの凄味を提示し、シーンのトップランナーであることを2016年に提示した彼ら。それを経た2017年は、9月にTimberlandとのタイアップともなった「Few Colors」のリリースや、SUMMER SONICへの出演などがあったが、クルーとしての動きはそこまで大きくはなかった。それよりも、それぞれのメンバーがソロ作品やプロジェクトによって、個としての存在感を高めるという、“拡散”が一つのキーワードとなった一年だったといえるだろう。
まずその先鞭をつけたのは、KANDYの顔役とも言えるIOだった。4月にリリースされた2ndソロアルバム『Mood Blue』は、スタイリッシュなラップが堪能できる、彼のカラーをより強く表した一枚だった。そこからはほぼ毎月のようにKANDYメンバーの作品が矢継ぎ早にリリースされていく。
5月にはDony Jointがアルバム『A 03 Tale, ¥ella』をリリースし、そのいぶし銀のダンディズム(25歳なのに!)と、そこに篭もる熱を見せつけた。そして7月にはMUDが『Make U Dirty』をリリース。KANDYの中でも、母体となるBANKROLLやYaBastaといったグループではなく、元々ソロとして活動してきた彼のアルバムは、KANDYのレコーディングなど裏方面も支えるNeetzがフルプロデュースを手がけ、G-FUNKテイストの楽曲など、KANDYのイメージをやや変化させるような作品性が印象的だった。
ビートメイカーのMIKIは、9月にDIANとMUDを迎えた、鮮やかでセンチメンタルな彩りを持つ「End of Summer」、12月にも「Oversea (feat. Raz Fresco & IO)」を発表。昨年アルバム『On The Korner』を発売したKIKUMARUも、9月にEP『FOCUS』をリリースした。KIKUMARUは他にもトラックメイカーLEAPの「in da city」にも参加するなど、これまで通りの制作意欲の高さを見せていた。
そして10月にはRyohuがバンドとのコラボを展開した意欲作『Blur』を完成させ、ラッパーとして参加している別ユニット・AUN BEATZでの経験や、下北沢GARAGEを中心としたバンド界隈との繋がりを、ソロ作品としても昇華した。
DJチームもMASATOとMINNESOTAHがタッグを組み、レイ・チャールズやアーチー・ベル&ザ・ドレルズ、スピナーズなどを擁した<ATLANTIC RECORDS>のカタログからピックした楽曲をコンパイルしたオフィシャルミックス『KANDYTOWN LIFE presents “Land of 1000 Classics” mixed by MASATO & Minnesotan』を制作。MASATOはアーバンソウルを中心にしたミックス『CITY BOY MIX 2』も12月に発売し、DJチームも気を吐いた一年となった。