フレンズ、5人のポップセンスが光った初の全国ツアー最終公演 『プチタウン』収録の新曲披露も
フレンズの全国ワンマンツアー『シチュエーション・コメディ season2』の最終公演が9月29日に東京・LIQUIDROOMにて開催された。ひろせひろせ(Key)が「ヤバイわ! 始まったわ!」と漏らせば、「だって今日、小学校の友達から現在の友達まで全員来てるからね!」とおかもとえみ(Vo)。そんな興奮気味のMCに象徴されるように、チケット完売、満員御礼となったLIQUIDROOM。フレンズのポップな音楽性に惹かれて集まったオーディエンスの年齢層は幅広く、小さな子供たちもステージに釘付けになっていた。
まず開演の合図として、ステージ背面にある「フレンズ」のアーティストロゴがカラフルに点灯。4月にリリースされた1stアルバム『ベビー誕生!』の1曲目でもある「ビビビ」からライブはスタートした。冒頭からメンバーのテンションはMAX。観客も「Yeah!」というコール&レスポンスと手拍子で応える。曲中、ひろせが<みんなの声どうしても聞きたくて 123で叫んだ>という歌詞を「恵比寿で叫んだ」と替えたり、バンドの中で“三番手のボーカル”を担う三浦太郎(Gt)が歌声とギターソロを披露するとひときわ大きな歓声が起こるなど、CDとひと味違うライブならではの高揚感に包まれる。2曲目「Wake Up BABY」では、屋台骨を支えるSEKIGUCHI LOUIE(Dr)と長島涼平(Ba)のロック色の強い演奏も光っていた。
中心に立つおかもとは「ついに来ました、『シチュエーション・コメディ season2』ツアーファイナルです! 超楽しみにしてきましたー!」とハイテンションで挨拶。ビートに乗りながらメンバー紹介を行い、最後にひろせが「本日、恵比寿LIQUIDROOMにシンデレラを連れてきました! 天下のおかもとえみ!」とおかもとを紹介して、キラーチューンの一つ「シンデレラガール」へ。ここまでの3曲は『ベビー誕生!』の序盤とほぼ同じ流れだったが、おかもとえみの歌唱力のさらなる向上を感じるには十分な時間だった。メリハリや声量を自在に操りながらライブをアジテートしていく彼女は、かつてベーシストに徹していたとは思えないほどフロントマンとしての気概に満ちていた。
「DIVER」「SUMMERLIKE」と弾けるようなサマーロックチューンを続けた後は、三浦がアコギ、ひろせが鍵盤ハーモニカなど、楽器を替えてアコースティックコーナーに突入。ここで選曲した「とけないよ」「DON'T STOP」は、しっとりとしたアレンジながらもグルーヴはそのままに、おかもとの伸びやかな歌声がクリアに堪能できる形となって耳に届いた。特にライブ初披露だった「DON'T STOP」は、スローバラードに乗るエモーショナルなおかもとの歌唱に会場中が圧倒され、拍手喝采が送られた。
クオリティの高いプレイで魅了する一方、MCではラフな笑いにあふれるフレンズのライブ。ズッ友(ファン)たちが全国どこから来たのかくまなく聞いて挙手させる場面でも、幾度となく爆笑が起きる。豊かなバラエティ性の極め付きは、ハーフタイムに上演された“シチュエーション・コメディ”。メンバーと親交のあるお笑いコンビ・ラブレターズが10歳の三浦と長島を演じ、ざわつく場内。そしてコント内で三浦が元気を失ってしまったことから、ミュージカル調のワルツナンバー「元気 D.C.T~プロローグ~」で元気を促す。LIQUIDROOM中が「タタンパ! タタンパ! プピプピプピ~」という魔法の言葉を叫び、見事三浦は元気を取り戻す……という茶番が繰り広げられた。さらに、ひろせのソロナンバーで、宮崎駿に捧げるメッセージソング「スタジオジブリをやめないで」も観客を楽しませた飛び道具と言えるだろう。
後半は、11月22日にリリースするプチアルバム『プチタウン』より新曲を2曲披露。「NIGHT TOWN」はミドルテンポながらフレンズらしいグルーヴィなナンバー、「原宿午後6時」はサビにて手でハートの形を作るアイドルソングらしい振りの付いた、ラブリーなハッピーソングだった。このあたりは、ひろせがSexy Zoneの最新シングルの表題曲「ぎゅっと」を作曲したことをはじめ、ポップスの作り手として腕を上げていることが顕著に表れていると感じた。