トリビュートアルバム『T. Rex Tribute 〜Sitting Next To You〜 presented by Rama Amoeba』インタビュー

アキマツネオが語る、T.Rexの本質「マーク・ボランの魅力は音楽理論を超えたところにある」

彼らの良さが、ようやく世間に知れ渡った

ーーところでアキマさんは、マーク・ボラン追悼イベント『GLAM ROCK EASTER』を、30年も続けてこられたわけですが、元々はどんなきっかけで始めたのですか?

アキマ:まず、僕の学生時代は周りの人たち全員が、T.Rexのこと大っ嫌いだったんですよ。「大っ嫌い」ですよ?(笑) 当時はThe BeatlesやCarpentersをみんな聴いていて、そこからT.Rexに行くと「なんだこれ?」っていう音楽だったからでしょうね。なので僕は、T.Rexというのは「みんなが嫌いな音楽」というのを前提で育ってきたので(笑)、マルコシアス・バンプを始めてオリジナルをやるようになって、T.Rexの曲も演奏したいと思いつつ、それは分けて考えたほうがいいんじゃないかと思っていたんです。

ーーええ。

アキマ:その頃はもうマーク・ボランも亡くなっていて、でも「T.Rexってこんなにかっこいい音楽なんだよ?」ということを伝えたくて。それで彼の命日に追悼イベントをやることにしたんです。なので、気持ちの部分はこのトリビュートアルバムと一緒ですよね。

ーー30年と続けてきて、T.Rexに対する評価は変わってきたと感じますか?

アキマ:そうですね。ただ、それは自分たちの活動のおかげだとは思っていないけど世の中がT.Rexに追いついたというか。彼らの良さが、ようやく世間に知れ渡ったのかなと。まあ、俺はしばらくは信用できなかったですけどね、「みんな、あんなに大っ嫌いだったじゃん」て。

ーー(笑)。T.Rexは、色んなタイミングで再評価されてきましたよね。もちろん、アキマさん率いるマルコシアス・バンプの存在も大きかっただろうし、僕の世代だとThe Power Stationが「Get It On」(1985年)をカバーしたのが強烈に印象に残っています。もう少し若い世代だと、映画『ベルベット・ゴールドマイン』(1998年)がグラムロックを知るきっかけになったり、『本格冒険科学映画 20世紀少年』(2008年〜)の主題歌で知ったりというのもあるかもしれないですよね。

アキマ:確かに。特に、The Power Stationは大きかったと思います。当時、T.Rexのカバーをやると、「Get It On」は知ってるというお客さんは多かった。だから、そうやって他のアーティストがカバーしてくれるというのは、すごく大きな影響がありますし、こういうトリビュートアルバムを作る意味もあるだろうなと改めて思いますね。

ーーでは最後に、改めてT.Rex、マーク・ボランの魅力についてお聞かせください。

アキマ:いま、世の中的にはEDMなど4つ打ちのダンスミュージックが全盛ですけど、日本人のDNAに刻まれているビートって、“シャッフル”ビートだと思うんですよ。少なくとも俺自身は、T.Rexのようなブギーのビートがしっくりくる。そして、日本に古来からあるビートとも限りなく似ているんですよ、ブギーって。お祭りのお囃子って全部、ブギーじゃないですか(笑)。

ーー確かに、「Metal Guru」とか完全にお囃子ですよね。

アキマ:ほんと、そうなんですよ。もっというと、ブギーのビートは心臓の音、ハートビートだと思うから。4つ打ちなんかよりもすんなりノレるはずですよ!(笑)。

(取材・文=黒田隆憲)

T・レックス・トリビュートアルバム全曲トレーラー

 

『T.Rex Tribute ~Sitting Next To You~ presented by Rama Amoeba』

■リリース情報
『T.Rex Tribute ~Sitting Next To You~ presented by Rama Amoeba』
発売日:2017年9月13日(水)
価格:¥2,778+税
<収録内容>
1.Get It On/ROY(THE BAWDIES)
2.Celebrate Summer/オカモトショウ(OKAMOTO’S)
3.Light Of Love/アキマツネオ feat. 廣瀬“HEESEY”洋一(THE YELLOW MONKEY)
4.20th Century Boy/菅原卓郎(9mm Parabellum Bullet)
5.Metal Guru/シシド・カフカ
6.The Slider/村越 “HARRY” 弘明
7.Dreamy Lady/志磨遼平(ドレスコーズ) feat. 越川和磨(THE STARBEMS)
8.Midsummer Night’s Scene/加藤ひさし(The Collectors)
9.Life’s A Gas/アキマツネオ & 橋本愛奈(Ciao Bella Cinquetti)
10.The Soul Of My Suit/日高央(THE STARBEMS)
11.The Prettiest Star/吉井和哉(THE YELLOW MONKEY)
12.Sitting Next To You/アキマツネオ & 吉井和哉(THE YELLOW MONKEY)

演奏:
<Rama Amoeba>
アキマツネオ(vo,g)・大島治彦(dr)・吉田ブギー(g)・清水“Matty”ケンヂ(b)
<Additional musicians>
三国義貴(key)・石田光宏(per)・原田千栄(cho)・高仲尚子(cho)

■ライブ情報
『マーク・ボラン追悼“GLAM ROCK EASTER Vol.31”』
日時:2017年9月16日(土)
会場:東京キネマ倶楽部
出演:Rama Amoeba(featuring Mitsuhiro Ishida)
サポートメンバー:三国義貴/原田千栄/高仲尚子
ゲスト:廣瀬"HEESEY"洋一(THE YELLOW MONKEY)/日高央(THE STARBEMS)/宮田和弥(JUN SKY WALKER(S))

『T.Rex Tribute ~Sitting Next To You~』発売記念TOUR
9月30日(土)名古屋ell.SIZE ※ワンマン
10月1日(日)大阪knave ※ワンマン
10月20日(金)、21日(土)福岡LIVEHOUSE CB 2days

「CHILDREN OF THE REVOLUTION〜ロックが僕達にもたらしたもの〜」

■書籍情報
CROSSBEAT presents
「CHILDREN OF THE REVOLUTION〜ロックが僕達にもたらしたもの〜」
監修:アキマツネオ・大久達朗 
サイズ:A5 
頁数:192 
予価:¥1,500(税抜) 
発売:9月13日
日本を代表するアーティスト達が語る「僕らが影響を受けたロック」 対談集
〈登場アーティスト〉 吉井和哉(THE YELLOW MONKEY)/廣瀬“HEESEY”洋一(THE YELLOW MONKEY)/加藤ひさし(THE COLLECTORS)/シシド・カフカ/ROY(THE BAWDIES)/日高 央(THE STARBEMS)/菅原卓郎(9mm Parabellum Bullet)/オカモトショウ(OKAMOTO'S)/越川和磨(THE STARBEMS)

オフィシャルサイト

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