フジロック、今年注目の洋楽アクトは? 新進気鋭からレジェンドまで出演者徹底解説!

<Red Marquee>

Temples

 英ネオ・サイケデリックの若手筆頭格テンプルズが、昨年のサマーソニックに続き登場。今度はニュー・アルバム『Volcano』を引っさげての来日です。酩酊するような幻惑的なサイケデリアと、クリアで分離のいいサウンド・プロダクションを両立し、彼ららしいメランコリックで美しいメロディ・ラインと強力なグルーヴを際立たせた新作の世界をどう表現するか。裏がエイフェックス・ツイン、LCDサウンドシステムと、なかなかタフな状況ですが、ここは若さで乗りきってもらいましょう。

Temples - Strange Or Be Forgotten

Temples - Certainty

The Lemon Twigs

 昨年出たファースト・アルバム『Do Hollywood』が大きな話題を呼んだニューヨークのダダリオ兄弟によるデュオ。芸能一家に育った早熟な2人が奏でるのは60~70年代のポップ/ロックへの愛情がたっぷり詰まった、マニアックだが親しみやすく、とびきりポップで甘酸っぱい箱庭ロックです。とにかく曲がよく書けていて、すぐに覚えて歌いたくなる。ライブ映像を見ると、歌も演奏も10代とは思えないぐらいしっかりしている。ルックスも見目麗しい末恐ろしい若者の登場をしっかり確認したいところ。

The Lemon Twigs - These Words

The Lemon Twigs - As Long As We're Together

The Amazons

 いつになく若手有望株の出演が目立つ今年のフジロックですが、ザ・レモン・ツイッグスと並び、ロック部門の最注目バンドはこれでしょう。英レディング出身の4人組。各メディアの新人賞を総なめにして、ファースト・アルバム『The Amazons』も評判を呼んでいます。けれんみのないオーセンティックなギター・ロックながら、現代的な鋭角性も兼ね備えた音楽性は、大物の雰囲気がプンプンと漂っていて、3年後ぐらいにはいきなりグリーン・ステージに抜擢されても不思議でないスケールの大きさを感じます。ライブ映像を見ても、英国の若手バンドとは思えない確かな演奏力があるようで、初来日となる今回のフジロックは、彼らのサクセス・ストーリーの第一章として語り継がれることになるかもしれません。

The Amazons - Junk Food Forever (Glastonbury 2017)

The Amazons - In My Mind

Day Wave

 カリフォルニア州オークランドを拠点とするジャクソン・フィリップスのソロ・プロジェクト。デビュー・アルバム『The Days We Had』をリリースしたばかりの、これまた新進気鋭です。いかにも西海岸らしいポップで開放的なサウンドですが、ニュー・オーダーの曲をカバーしているように、ただ明るいというだけではないメランコリアもポイント。フジロックという場に合っているのではないでしょうか。

Day Wave - Promises

Day Wave - Ceremony (New Order Cover) - Shows From Schubas

The Ramona Flowers

 英ブリストル出身の5人組。昨年末に発表されたセカンド・アルバム『Part Time Spies』を引っさげてのフジ出演です。エレクトロニクスとロックを自然に融合したスケールの大きな王道ロック。PVも手が込んだドラマティックなものが多く、ライブも盛り上げてくれそうです。

The Ramona Flowers - If You Remember

The Ramona Flowers - Skies Turn Gold

<Tribal Circus>

A Guy Called Gerald

 英マンチェスター出身のア・ガイ・コールド・ジェラルドことジェラルド・シンプソン。808ステイトのメンバーとしてシーンに登場して以来、UKのダンス・ミュージックの基礎を作り、背骨を支えてきた偉大なDJ/プロデューサーです。808時代の「Pacific State」、ソロになってからのUKアシッド・ハウスのスーパー・アンセム「Voodoo Ray」など、クラシックは数知れず。正真正銘のレジェンドの登場です。しかも今回はライブ・セット。気合いを入れて臨みましょう。

A GUY CALLED GERALD - Hi Rise

A Guy Called Gerald - Voodoo Ray

Nina Kraviz

 シベリア出身の才色兼備のテクノの女王二ナ・クラヴィッツ。自らのレーベル<трип>(トリップ)を主宰し精力的にダンス・トラックを発表する傍ら、夏シーズンの稼ぎ時は毎週末世界中の大型フェスを飛び回る屈指の売れっ子です。日本でもたびたびプレイしてますが、フジロックへの出演はこれが初めてのはず。変幻自在にクラウドを操りフロアをクールに盛り上げるニナ様の勇姿を確認しましょう。ア・ガイ・コールド・ジェラルド~ニナ・クラヴィッツ~石野卓球と続く流れはテクノ・ファン必見です。

Nina Kraviz @ Time Warp 2017 Full Set HiRes – ARTE Concert

Nina Kraviz - Ghetto Kraviz (Official Music Video)

<Field of Heaven>

Elvin Bishop

 若手が多い今年のフジロックの“ロック・レジェンド部門”は、このエルヴィン・ビショップでしょう。2012年以来のフジロック登場です。1963年、21歳の時にポール・バターフィールド・ブルース・バンドのギタリストとしてキャリアをスタートさせ、『The Paul Butterfield Blues Band』(1965)『East-West』(1966)というロック史に残る名作を発表、独立後はソロとして「愛に狂って」(1976年)など数々のヒットを飛ばし、74歳になる今も精力的な活動を続けています。最新作は今年リリースされたばかりの『Elvin Bishop’s Big Fun Trio』。歌もギターもまだまだ元気一杯の現役バリバリ、ビショップ翁のワビサビの極致をいくグッド・オールド・ブルースの精髄をぜひ。28日深夜のTHE PALACE OF WONDERにも出演します。

Elvin Bishop Fooled around and fell in love Original Video 1976

Elvin Bishop ~ Don't You Lie to Me ~ Bean Blossom Blues Fest 2016

The Marcus King Band

 南カロライナ州グリーンヴィル出身の弱冠20歳の驚異のギタリスト、マーカス・キング率いる6人組。元オールマン・ブラザーズ・バンドのウォーレン・ヘインズがプロデュースしたセカンド・アルバム『THE MARCUS KING BAND』が日本リリースされたばかりで、フジロック初登場です。BBキング・スタイルを基調にしてR&Bやジャズの要素も絡ませたブルースですが、マーカスのギターもボーカルも腰を抜かすような迫力で、なるほどこれは大物です。テデスキ・トラックス・バンドあたりが好きならぜひ。28日深夜のTHE PALACE OF WONDERにも出演します。

The Marcus King Band- "Ain't Nothin' Wrong With That" (Recorded Live for World Cafe)

Marcus King Band (w/ Warren Haynes) - "Hot 'Lanta" (Allman Brothers Band) - Mountain Jam 2016

Western Caravan

 ウエスタン・キャラヴァンはギタリストのウィット・スミスを中心に1995年に結成されたカントリー&ウエスタンのバンド。今回はボーカリストとしてサースティー・デーヴをフィーチャーしてのフジロック出演です。ノスタルジックなオールド・アメリカン・スウィング。

Western Caravan, Live at the Rodeo Bar: Little Sister

<Gypsy Avalon>

Declan O’Donovan

 デクラン・オドノヴァンはカナダのシンガー・ソングライター。トム・ウエイツを彷彿とさせるボーカルとシンプルながらルーツ・アメリカンの滋味たっぷりの音楽性が特徴です。今年になって5年ぶりのセカンド・アルバム『Broken Sky』をリリースしたばかり。東京・大阪で単独公演も予定されてますが、ジプシー・アバロンという小さく親密なステージで間近で見られるのはかなりお得な感じです。前回の来日はピアノ弾き語り、今回はバンド編成での演奏になるようです。28日Café de Parisにも出演。

Declan O'Donovan - "Down To The Bottom" [Official Music Video]

Declan O'Donovan - Let It Rain (Live Session)

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