『Neyagawa City Pop Tour』渋谷CLUB QUATTRO公演

yonigeがデビュー前のライブで鳴らした“始まり” アジカン「ソラニン」も歌ったツアー東京公演

 yonigeの最新作『Neyagawa City Pop』リリースツアー東京編が、6月19日に渋谷CLUB QUATTROにて開催された。

 全国で行われたこのツアー、ファイナルシリーズとなる東名阪は対バン相手を招いて開催。当日はyonigeと同世代でもあるAge Factory、PELICAN FANCLUBとの3マンとなった。

 一番手は地元奈良を拠点に活動するスリーピースバンドAge Factoryだ。yonigeとは共同で自主企画イベント『RED』を行う仲であり、また関西出身という共通点もある。ライブは「真空から」から始まり、清水エイスケ(Vo・Gt)の強く太いハスキーな声と、轟音と静寂が行き来するダイナミックなアンサンブルによって、バンドの存在感を強烈に印象付けていく。3人がそれぞれに己をさらけ出すような壮絶なステージには、ただならぬ緊張感と興奮があった。そんな中でも新曲であり、7月26日発売のミニアルバム『RIVER』に収録される「SUNDAY」は新境地を感じさせる1曲。疾走感のあるイントロから幕を開け、美しいメロディに乗せてじっくりと歌を聴かせた。

 続いて登場した<UK.PROJECT>所属のPELICAN FANCLUBは、「深呼吸」からスタートし、意外にもアグレッシブなパフォーマンスを見せる。浮遊感のある歌声の持ち主で、自由に身体を揺らしながらギターをかき鳴らすエンドウアンリ(Vo・Gt)の佇まいもどこか神秘的な雰囲気をまとっていた。代表曲とも言える「Dali」は、複雑なリズムが新鮮な楽曲。ギターロックを基本にしながらも、シューゲイザー、ドリームポップ、ニューウェーヴ、ポストロックの要素も取り入れられ、海外の音楽シーンともつながる豊かな音楽性が感じられた。

 そしていよいよyonigeの出番。大阪・寝屋川発の2人組によるyonigeは、サポートドラマーを迎えた3人体制でステージに立った。ライブは『Neyagawa City Pop』の1曲目でもある「our time city」をドラムのカウントからスタートさせ、豪快なギターリフを響かせる。<革命の準備だ><一体なにが起こるのかな/怖くはないよ ぼくら1994だから>という歌詞が象徴するように、まさにyonigeというバンドの始まりを示す曲となっていた。

牛丸ありさ(Vo・Gt)

 さらに彼女たちの名が広がるきっかけとなった「アボカド」は、オルタナなサウンドに乗せ、別れた“君”に投げつけたアボカドのことが歌われる。世間一般でイメージされる“女の子らしい可愛らしさ”を踏襲するのではなく、滑稽だったり惨めな一面も明け透けに出せるところが、yonigeが今支持を受けている理由のひとつなのかもしれない。このライブにも、彼女たちと同世代だろう男女が数多く集っていた。

 yonigeが渋谷CLUB QUATTROのステージに立つのは今回が2回目。MCでは過去にイベントで初めてステージに立った時のことを振り返り、「あのときは怖い先輩たちに囲まれて(笑)、数えられるほどしかyonigeのことを知ってるお客さんがいなくて、怯えながらステージに出ました。今日は……こういうことになってうれしいです」と、チケットがソールドアウトしたフロアに向けて、牛丸ありさ(Vo・Gt)が感謝の気持ちを伝えた。

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