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- 2017.06.13
今回は男性ソロアーティストの新作を紹介。普遍的なポップスを志向するシンガーソングライター、おもしろネタで注目を集めるクリエイターから、ボカロ経由の新世代アーティストまで、男性ソロアーティストたちの幅広い表現を楽しんでほしい。

デビュー曲「シンクロ」、ブレイクのきっかけになった名曲「鱗(うろこ)」、新海誠監督の映画『言の葉の庭』のイメージソング「言ノ葉」、映画『STAND BY ME ドラえもん』の主題歌として大ヒットを記録した「ひまわりの約束」など秦 基博のデビューから10年の軌跡を追体験できる初のオールタイムベスト『All Time Best ハタモトヒロ』。時期によってサウンドの手触りはかなり変化しているのだが、日常の風景と奥深いメッセージを融合させた歌詞、アコースティックギターと歌を中心としたアレンジ、すべてのフレーズに鮮烈な感情を与えるボーカルなど、音楽の核になる部分はまったくブレていない。この芯の強さこそ、彼の楽曲が幅広い層のリスナーに愛されている理由だろう。それにしても本当にいい声。歌い出した瞬間に名曲感が溢れてしまう、稀有なシンガーだと思う。

“英語のように聴こえる日本語”というネタのMV「Natural Lips」を見事にバズらせ、再び注目を集めている岡崎体育の2ndアルバム『XXL』。「Natural Lips」は本格的なファンク・サウンド、さらにもうひとつのリードトラック「感情のピクセル」(こちらのMVはサビのパートで、うさぎさん、キツネさんなどがワイワイしてます)はオーセンティックなヘヴィロックで、“質の高いサウンド×おもしろネタ”という特性がしっかりと追求されている。アニメのタイアップが付いたシングル曲を収録せず、インディーズ時代の代表曲「Snack」「鴨川等間隔」(どちらも名曲!)を収録しているのも、一時の話題性だけに頼らず、良い曲を聴かせたいという意志の表れ(たぶん)。いずれにせよ本作が、彼のキャリアハイになることはまちがいない。

「STAY AWAY」「READY STEADY GO」「Link」などL‘Arc-en-Cielのポップサイドを象徴する楽曲を手がけてきたTETSUYA。ソロデビュー15周年のアニバーサリーを飾るシングル『愛されんだぁ I Surrender』表題曲にも、彼の際立ったポップセンスが強く反映されている。基本となるサウンドは、80年代のポップなハードロック(このタイトルを見た瞬間、反射的に“RAINBOW”を思い出した人はまちがいなく40代以上)。キャッチーなギターリフ、ヌケのいいバンドサウンド、そして、サビのフレーズで気持ち良く解放されるメロディライン。アレンジ、ソングライティング、ボーカルのスタイルを含め、日本的な情緒みたいなものが1mmも感じられず、TETSUYA流のポップワールドが展開されているのだ。華やかで派手なコーラスワークも楽しい。
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