DJ MAKIDAIが語る、クラブミュージックの醍醐味「新しいものと古いものをつなげることができる」

DJ MAKIDAIが語る、クラブミュージックの醍醐味

その場がグルーヴしていることが大事

ーー1999年にJ Soul Brothersに加入。2001年にはEXILEとしてデビュー。その後はメジャーシーンを突き進むわけですが、DJとしての活動も続いていたんですよね?

MAKIDAI:そうですね。EXILEとしてデビューした後も、しばらくはHalemやVUENOS、club asiaなどでやらせてもらっていて。初期の頃はÜSAやMATSUもよく来てくれてたんですよ。ATSUSHI、SHUNちゃん(清木場俊介)に参加してもらったこともありますね。DJの途中でブレイクを入れて、ふたりにBOYS II MENの曲をアカペラで歌ってもらったり。ホントに最初の頃ですけどね、それは。あとはEXILEの最初のクラブツアーの打ち上げでDJをやったり、曲のなかでスクラッチを入れさせてもらったり。DJとしての活動は途切れずやってました。

ーーEXILEのライブでも、DJとして培ってきたものを発揮していて。

MAKIDAI:パフォーマーがソロで踊るところの音楽は自分も一緒に考えてましたね。「DANCER’S ANTHEM」という曲のライブバージョンを考えたり。だから、やってることはずっと一緒なんですよね。ダンスするための曲を自分でエディットするっていう。

ーー2008年にはDJ MAKIDAI名義の初のミックスアルバム「DJ MAKIDAI from EXILE Treasure MIX」をリリース。EXILEのリスナーにコアなR&B、ヒップホップを浸透させるひとつのきっかけになりました。

MAKIDAI:テレビで披露させてもらっていたEXILEの曲はJ-POP的なものだったり、R&Bテイストのバラードが多かったんですが、自分のミックスアルバムはある意味もっと濃いというか、ブラックミュージック、R&B、ヒップホップなどのルーツの部分も入っていて。EXILEではパフォーマーという立場でしたが、DJとしての活動もやらせてもらっていたのはすごく良かったと思います。パフォーマーを卒業してからは、さらにDJ MAKIDAIとしての活動に集中できているし。

ーーその中心にあるのがPKCZ®としての活動なんですね。

MAKIDAI:そうですね。きっかけになったのは「CLUB EXILE」(2014年8月/新木場STUDIO COAST)なんです。EXILE TRIBEのミックスアルバム(「EXILE TRIBE PERFECT MIX」)をリリースした後にやらせてもらったイベントなんですが、僕がDJをやって、LDHのアーティストにも出演してもらって。そのときにHIROさんが「新しいエンターテインメントだね」って言ってくれたのも大きかったし、そのイベントにはDJ DARMUMA氏やVERBALくんも参加していたんです。2人とは同い年で、通ってきた音楽にもかなり共通点があるんですよ。たとえば僕が「あの曲をバージョンアップして、DOBERMAN INFINITYのKAZUKIに歌ってもらえたら良さそうだな」と考えていたら、DJ DARUMA氏も同じことを思ってたり。もちろんそれぞれに違う部分もあるし、お互いに持っているものをミックスしながら作り上げている感じですね。

ーー「PLAY THAT」もそうですが、アーティストとのコラボレーションも大事な要素になっていて。

MAKIDAI:それは以前からずっと考えていたことなんです。最初の「Treasure MIX」に「リアル・ラブ」(メアリー・J・ブライジ)のカバーが入ってるんですけど、DOUBLEのTAKAKOさんに歌ってもらっていて。それは「クラシックになっている曲を現行のアーティストに歌ってもらって、時代を超えた1曲にしたい」という発想から生まれてるんですよね。「Treasure MIX2」に収録している「ドリームラヴァー」(マライア・キャリー)を青山テルマちゃんに歌ってもらったのもそう。そういうやり方は、PKCZ®でも続けていきたいですね。他力本願ではなくて、いまのアーティストとコラボレーションすることで新しいものを作っていくっていう。まだ発表は出来ないですけど、海外のラッパーを含めて「この人とやってみたい」という計画も進んでいるんですよ。

ーーPKCZ®の音楽的な幅も広がりそうですね。

MAKIDAI:そうですね。芯になっているのはヒップホップ、R&Bですけど、僕自身も常に新しい音楽を聴いてるし、4つ打ちの曲、EDM的な曲も増えてくると思うので。たとえば海外でやるときも、自分たちの曲で盛り上がるのがベストだと思っていて。そのためにも制作にはしっかり打ち込みたいですね。タイムレスな楽曲を作るということも意識してますね。先ほども言いましたけど「PLAY THAT」の原型は2年前からあって。でも、いま聴いてもすごくカッコいいじゃないですか。もちろんAFROJACKさんのすごさもありますが、時代を超えた曲になっていってくれればと思います。

ーーニュージャックスウィングが復活してきたり、トレンドも変化していて。90年代前半のブラックミュージックをルーツにしたPKCZ®の存在は、いまのシーンにとってもすごく意味があると思います。

MAKIDAI:ブルーノ・マーズもニュージャックスウィング的な曲をやってますからね。この前、大阪のクラブで名前を出さずに1時間プレイしたんですけど、一緒にやってたDJ LEADくんが90年代のニュージャックスウィングの曲とブルーノ・マーズをつないでいて。そのときに「音楽っておもしろいな」って改めて思ったんですよね。トレンドの入れ替わりはどんどん早くなってるけど、そのなかに共通点を見つけて、新しいものと古いものをつなげることが出来ますからね、DJには。年齢を重ねるごとに音楽の知識も増えるし、仲間からもいろんな情報が入ってきて。いまはYouTubeなどで新しいDJのプレイもチェックできるし、さらに勉強しながら自分らしさを磨いていけたらなと。

ーーなるほど。それにしても「名前を出さずにクラブで1時間回す」って、シビれますね。

MAKIDAI:そうなんですよ(笑)。しかも外国人のお客さんが多いクラブだったから、自分が誰かは関係なくて。かけている音楽だけが頼りだから、けっこうドキドキしました。そういうときって、リアルなものを感じられるんです。トレンドを取り入れることも必要だけど、ちゃんとその場がグルーヴしていることのほうが大事だな、とか。PKCZ®としては大きなフェスなども狙っていきたいですが、個人的にはクラブの現場でも引き続きやっていきたいですね。

(取材・文=森朋之)

PKCZ®オフィシャルサイト

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