平原綾香が多くのアーティストから支持される理由ーー人と歌を愛する“人間性”から紐解く

 平原綾香が4月26日に発売した10thアルバム『LOVE 2』。昨年4月27日に発売した9thアルバム『LOVE』に引き続き、今作でも宇崎竜童、阿木燿子、谷村新司、原 由子、織田哲郎、宮沢和史、藤巻亮太などの豪華アーティストから楽曲提供を受けている。

 平原は2003年、19歳の時にホルストによる組曲『惑星』の「木星」に日本語詞をつけカバーした「Jupiter」でデビュー。「Jupiter」は『3年B組金八先生』(TBS系)第7シリーズの挿入歌にも起用され、10代とは思えない深く落ち着いた歌声と圧倒的な歌唱力で一気に名を広めると、ドラマ『優しい時間』(フジテレビ系)主題歌「明日」、NHKトリノオリンピック放送テーマソング「誓い」、ドラマ『風のガーデン』(フジテレビ系)主題歌「ノクターン」、「日米対抗フィギュアスケート 2007」のエキシビションで浅田真央選手が使用した「To be free」などで人気を確実なものとした。

 平原は人並み外れた歌唱力を持つ一方、親しみやすい雰囲気があり、人との距離を縮めるのが得意だという。特にマルチサックスプレイヤー・平原まことを父親に、トランペット奏者の平原勉を祖父に持つという家庭環境も影響してか、年上のミュージシャンとの交流が活発だ。

 例えば、前作『LOVE』収録の「マスカット」を楽曲提供した玉置浩二は、平原の父・まことが安全地帯のサポートを務めていたため、平原のことを幼少時から知っていたのだという。その後二人は『玉置浩二ショー』(NHKBSプレミアム)で共演を果たし、その縁から楽曲提供が実現した。また、「トニー」「平原」と呼び合うなど、「鼓動」を提供した徳永英明とはプライベートでも親交が深い。同作には以前にも「夢暦」「孤独の向こう」で平原に楽曲提供した川江美奈子、2015年に平原が『中島みゆきRESPECTライブ「歌縁」』に出演したことから中島みゆきも参加。人との縁を大切に繋いでいく平原だからこそ実現したアルバムといえよう。

 続く今作『LOVE 2』のテーマは「幸せな愛」。前作『LOVE』の頃からあるという諫山実生作詞作曲の「私 結婚します」を軸としてテーマが決定した。『LOVE 2』には、今回が初の他アーティストへの楽曲提供だという藤巻亮太が「三日月○○」を、平原のデビュー時から親交があり「谷村パパ」と呼ばれる谷村新司が「ジャスミン」を手がけるなど、前回に引き続き豪華メンバーが参加している。また、織田哲郎が提供した「YOU ARE MY LOVE SONG」のレコーディング時には、織田自身が駆けつけてギターを弾いたというエピソードも。また平原は今回、新たに出会ったアーティストには自ら手紙を書き、楽曲制作を依頼したという。中でも原 由子とはそのまま文通のようなやりとりに発展するなど、今作の制作過程でも平原の“愛されキャラ”ぶりが発揮されていたようだ。

 そんな平原の親しみやすさやコミュニケーション力は、4月で12年目に突入したレギュラーラジオ『森永乳業 presents 平原綾香のヒーリング・ヴィーナス』(TOKYO FM)でも活かされている。番組に迎えるゲストは、アーティストはもちろん小説家、写真家、足ツボマッサージ師まで実に様々。ゲストのパーソナルな“音楽の世界”を辿るという番組のテーマは、研究熱心かつ聞き上手な平原にはぴったりだ。番組内では「あ~や、免許持ってないんだ! でねー、来年取ろうと思っているの!!」といった、歌声から抱く落ち着いた印象とは異なる等身大の“あ〜や”の素顔を見せ、リスナーや初対面のゲストともすぐに距離を縮めている。

 さらにアーティストとしての活動以外にも「平原綾香 Jupiter 基金」を設立し、チャリティコンサート『平原綾香 Jupiter 基金コンサート』を開催。同基金は「ひとつの場所に決めて寄付をさせていただくのではなく、その時に困っている人がいたら支援させていただく」という柔軟な方針で行なわれており、人々とのふれあいを大切にする平原らしい企画だ。

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