浅田真央、フィギュアスケート現役引退へ “愛らしさ”から“美しさ”への変化を使用曲で振り返る

 印象的なのは、10代の頃の浅田はスピード感のあるアップテンポな楽曲や、展開がロマンティックな曲を中心に選曲していたのに対し、年齢を重ねるにつれて壮大なオーケストラやしっとりとしたバレエの楽曲を選ぶ傾向になっていること。2015-2016シーズンには、「素敵なあなた」といったジャズナンバーや、「蝶々夫人」のようオペラの楽曲も採用している。そのような使用曲ジャンルの多様性とともに、愛らしさから美しさへと浅田の表現スタイルも深みが増していった。

 そして最後の大会となった『第85回全日本フィギュアスケート選手権大会』では、マヌエル・デ・ファリャが作曲したバレエ音楽『恋は魔術師』より「Danza Ritual del fuego」と「En la cueva - La noche Pantomime El aparecido」を選曲。どちらも早い進行で緊張感のある雰囲気が特徴的な楽曲だ。同大会は、ジャンプの不調やミスが続き、結果12位という成績で幕を閉じる。しかし、2016年-2017年は左膝や腰の痛みといった不安要素を抱えていた浅田だが、同大会のプログラムにはトリプルアクセルや難しいコンビネーションジャンプを組み込むなど、最後まで自身のスケートのスタイルを貫き通した。

(文=泉夏音)

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