Acid Black Cherryのライブは進化し続けるーーファンと触れ合った2013年〜2015年を総括

 Acid Black Cherryが3月22日、ライブ映像作品『10th Anniversary Live History -BEST-』をリリースした。同作は、2017年7月18日よりソロデビュー10周年となるAcid Black Cherryの全19枚のシングルと、デビュー前に制作され、“0thシングル”としても配信されている「君がいるから」を含めた全20曲を、今まで行ってきた様々なライブの時間軸とともに振り返る内容だ。音楽ライターの武市尚子氏によるABCの10年の歴史を1年ずつ振り返る連載が3月22日よりオフィシャルFacebookで公開されている。リアルサウンドでは同連載を3回に分けて掲載しており、今回が最終回となる。(編集部)※2007〜2009年の連載記事はこちら、2010年〜2012年の連載記事はこちら

【2013年】Project『Shangri-la』1st Season ~ 3rd Season

 

 2013年3月、Acid Black Cherryはニュープロジェクト、Project 『Shangri-la』を発表した。

 このProject『Shangri-la』は、「ライブで全国をくまなくまわり、なるべくファンの近くで唄い、ファンとの触れ合いの機会も持ちたい」ということを常に考えていたyasuの想いを実現するものであり、「自分の音楽を愛してくれる人が、一人でも多く笑顔になってもらえたら」という想いも込められたプロジェクトであった。

 このプロジェクトを掲げたとき、3つのことを約束した。1つ目は、ライブツアーをまわりながら、コンスタントにニューシングルをリリースすること。2つ目は、日本全国を5ブロック・5期間に分け、全国の“君”に自ら出向いて会いに行くことを目的とした全都道府県ツアーを行うこと。3つ目は、行った先々で「Shangri-la Meeting」と名付けられた触れ合いイベントを開催し、テレビやラジオの公開収録やハイタッチ会をしながら、全国の“君”と触れ合うというものだった。

 “唄で世界は変えられない 唄で世界は救えない でも君が笑顔になるなら唄いたい―――”。

 これは、2011年10月にリリースした12枚目のシングル「シャングリラ」の中で唄われている言葉であるが、このProject 『Shangri-la』は、まさにこの歌詞そのものを形にしたようなプロジェクトだったと思うのだ。

「“君が笑顔になるなら唄いたい”っていうフレーズを、そのままやれたらいいと思ったんです。本当にシンプルに、ただただその思いだけ。みんなが笑顔になるなら、みんなの街に行って唄いたいんです」

 また、全都道府県ツアーと並行して行われた触れ合いイベント「Shangri-la Meeting」もまた、yasuに強い想いを抱かせたように感じた。

「全都道府県でライブができてもちろん良かったけど、あのイベントは本当にやれて良かったし、やって良かったと思ってますね。この先、また全都道府県ツアーは出来たとしても、ハイタッチ会はなかなか出来ないと思うからね。本当にいろんな人たちの協力もあって、みんながたくさん会いに来てくれて、実現出来たことでもあったと思って感謝してますね。本当にたくさんの人と実際に触れ合えて、純粋に楽しい気持ちになれたし。すごく自分の力にもなったしね」

 特に印象深かったのはアンコールでのリクエストコーナーである。チケットの半券を入れた抽選箱から数枚を引き、当たったファンの所へスタッフがマイクを届けて、そのファンとステージから会話をするという企画だった。

「どこから来たの?何歳?今日は誰と来たの?」と優しく問いかけるyasuに、緊張しながらも楽しそうに答えるファン。思わず笑みがこぼれるようなやりとりの後、「じゃあ、何の曲聴きたい?」というyasuに、それぞれが自分の聴きたい曲をリクエストした。これも、yasuなりの触れ合いの形であり、このためにyasuはどんな曲にも対応できるように入念にリハーサルをしていたのだ。

「俺にとっては47本中の1本でも、みんなにとっては1回きりの1本やしね」

 と語るyasu。yasuはもちろん、サポートメンバーも、照明スタッフに至るまで、ライヴに関わるすべての人間が、何をリクエストされてもいいように準備していたのだという。

 “君が笑顔になるなら 唄いたい―――”、その想いのために。

「だって、笑顔は伝染するでしょ?」

 そんなyasuの言葉通り、真夏の東北での1st Seasonから、北陸・甲信・東海をまわった2nd Season、そして中国・関西地方を年末まで駆け抜けた3rd Seasonで、笑顔がどんどん広がり、そして、繋がって行ったように感じた。

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