星野源は日本のポップミュージックの歴史を前に進めるーー新春ライブ『YELLOW PACIFIC』レポ

星野源『YELLOW PACIFIC』レポ

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 そこからのクライマックスに向かって一気に駆け上がっていく展開は圧巻だった。「SUN」では、ELEVENPLAYの8人のダンサーもステージに登場。開催地の横浜にあわせ、白に紺色のセーラー襟がついたマリン・ルックの衣装に身を包む。ふくよかなサウンドにあわせて、観客も思い思いに踊り始めると、さらに人気曲「Crazy Crazy」を惜しみなく披露していく。

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 そして、この日一番のハイライトとなる「恋」へ。あのイントロが鳴ると同時に、会場からは歓喜の声があがる。この光景は壮観だった。見渡す限り、誰もが自由に踊っているのだ。2016年後半から今に至るまで日本中を賑わせているこの曲が、ライブという生のコミュニケーションが生まれる場所で鳴らされることで、ステージの上とフロアの興奮が渾然一体となり、巨大なエネルギーを放っていた。そして本編ラスト・ナンバーは「Week End」。8人のダンサーはそれぞれ違った振り付けで踊り、星野源もまた、身体全体でリズムを刻む。もちろん、決まった振り付けをみんなで一斉に踊ることは楽しい。しかし、星野源の曲はたとえ振り付けがなくとも、みんなバラバラに、それぞれの赴くままに身体を動かすことを誘ってくる。

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 アンコールではおなじみ寺坂直毅の口上に乗って、ダンサーとお揃いのマリン・ルックのニセ明が登場。「君は薔薇より美しい」を高らかに歌い上げ、「ニセ明、初めて2曲やらせていただきます」と告げ、「時よ」も振り付けとあわせて披露した。ニセ明がステージを去ると、星野源が再び現れ、5月からのアリーナツアー開催を発表。そして、賑やかで幸福な一夜の終わりにふさわしい「Friend Ship」で大団円を迎えた。

 ナレーション、ビデオメッセージ、弾き語りコーナー、ニセ明……星野源のライブには、エンターテインメントに必須の要素がいくつも組み込まれている。そして、そのひとつひとつを毎回アップデートしていくことで、初めての人もそうでない人も、万人を等しく楽しませるライブを生みだすことができるのだろう。ステージの上で星野源は、とても自然体で、誰よりも心も身体も解放し、音楽に没頭できることを心から喜んでいるように見える。そんな姿を目の当たりにすると、見ている側も、やはりその一瞬一瞬を味わい尽くすしかない。

 音楽家、俳優、文筆家という多彩な顔も見せながら、エンターテインメントにすべてを捧げる星野源。2017年はどうやって我々を楽しませてくれるのだろうか。

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(取材・文=若田悠希/撮影=Tsukasa Miyoshi(Showcase))

■セットリスト
「星野源 新春Live 2days『YELLOW PACIFIC』」
2017年1月24日(火)パシフィコ横浜 国立大ホール

1. ワークソング
2. 化物
3. 桜の森
4. Night Troop
5. Snow Men
6. くだらないの中に
7. 雨音
8. 地獄でなぜ悪い
9. くせのうた
10. 口づけ
11. フィルム
12. Continues
13. SUN
14. Crazy Crazy
15. 恋
16. Week End

(アンコール)
1. 君は薔薇より美しい
2. 時よ
3. Friend Ship
 
星野源 オフィシャルサイト

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