太田省一『ジャニーズとテレビ史』第二十八回:2017年期待のジャニーズ
関ジャニ渋谷、TOKIO山口、キスマイ横尾、セクゾ佐藤……2017年テレビで活躍期待のメンバーたち
今回は、2017年最初ということで個人的に注目、期待したいジャニーズについてふれてみたいと思う。
まずは、冠番組の充実が目立つ関ジャニ∞のなかから渋谷すばるを挙げたい。
歌、ダンス、笑いといった多彩なエンターテインメントを誰にでも楽しめるようわかりやすいかたちで提供するのがテレビの大きな役目だ。だが同時にマニアックな面白さを求められるのが、いまのテレビでもある。
わかりやすさとマニアックさ。この二つを両立することはなかなか難しい。そうしたなか、関ジャニ∞の『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)は、その点で成功している数少ない番組のひとつだろう。
この番組では、ミュージシャンやプロデューサーなどプロの音楽関係者をゲストに、さまざまな音楽ジャンルや曲作りなどの秘密がかなり詳しく掘り下げられる。関ジャニ∞のメンバーは、あるときにはひな壇での聞き役、あるときにはミュージシャンとのコラボ演奏でそうした音楽のマニアックな魅力をわかりやすく伝える。ジャニーズグループの冠番組は多いが、音楽を前面に出した番組は少ない。その意味でも貴重な番組である。
そこで存在感十分なのが、渋谷すばるだ。もともとシンガーとしての評価も高い渋谷だが、番組中ゲストとのコラボで歌うときなどにはその力量が遺憾なく発揮されている。昨年2016年は、2月にカバーアルバム『歌』をリリースし、全国ソロツアーも行った。アルバムには、RCサクセション、サザンオールスターズから宇多田ヒカル、松田聖子の曲まで幅広く収録されている。そこには、彼の歌心とともに、『関ジャム 完全燃SHOW』のコンセプトとも通じるものが感じられる。渋谷には、今年はオリジナル曲も含めて音楽番組でのいっそうの本領発揮を期待したい。
一方、ジャニーズが、芸能以外の分野で才能を発揮して視聴者を驚かせる場面もますます増えている。そんな“実技系”の筆頭が、言うまでもなくTOKIOである。『ザ!鉄腕!DASH!!』(日本テレビ系)では、大都会新宿に生き物と共生する街を自分たちの手でつくろうという新企画「新宿DASH」も昨年末スタートし、ますます目が離せない。
そうしたDIY的企画の中心にいつもいるのが、山口達也である。DASH村やDASH島での農作業や大工仕事で見せる、本職かと勘違いしてしまうような鮮やかな職人技は、いまやよく知られるところだ。
その山口、MC担当の番組を複数抱え、個人活動の幅を着実に広げている。今年はぜひその点にも注目したい。
そのひとつ『幸せ!ボンビーガール』(日本テレビ系)の昨年秋放送のスペシャルでは、鹿児島で民宿開業を目指す女性を手助けに行き、竹を切り出して囲炉裏の自在鉤をつくるという離れ業で視聴者を驚嘆させた。これなどは『ザ!鉄腕!DASH!!』の技がそのまま生かされた例だが、そればかりではない。
朝の情報番組『ZIP!』(日本テレビ系)では、メインパーソナリティとして生放送の番組をそつなく仕切る上手さ、また中高生の悩みなどを取り上げる番組『Rの法則』(NHK Eテレ)では、十代のさまざまな意見を聞いたうえで適切に話をまとめる手際の良さと、MCとしての基本能力の高さを見せてくれる。『Rの法則』などは、そこに彼ならではの頼れる兄貴感もにじみ出て、山口の魅力を伝える好番組になっている。