竹達彩奈、“ニューあやち”への第一歩踏み出す サンプラザ公演に見た歌手としての成長

 

 微細なエレクトロニックサウンドが特徴の「ナナイロ⇔モノクロ」では、仮面をつけたダンサー“ナナイロちゃん”が竹達の影として登場。ボコーダーによるマイクパフォーマンス、2週間前に決まったという振付で、本人である竹達とのシンクロダンスを披露していく。カバータイムでは、「この曲に出会って背中を押せてもらえたし、声優になるのを頑張ろうと思える希望みたいな形になった思い出の大事な曲」と前置きし、堀江由衣の「翼」を熱唱。曲中には、涙に声を詰まらせ楽曲への強い思いを滲ませた。「長年封印されてきた猫耳な彼女の曲を聴いてもらえたら……」と述べ披露されたのは、「じゃじゃ馬Way To Go」。アニメ『けいおん!』(TBS系)で彼女が声を演じた中野梓のキャラクターソングだ。レアな選曲に会場のファンも大いに沸いていく。

 ライブ後半では、「君に恋シテル。」を始めとした『Lyrical Concerto』収録曲を立て続けに披露していき、次第にファンのギアも上がっていく。SFテイスト溢れるMONACAの神前暁による「Miss. Revolutionist」では、ギターの木暮晋也による金属的な倍音を鳴らすピッキングハーモニクスが響き渡る。「キミイロモノローグ」のアンサーソングである「ユメイロソレイユ」は、共に竹達自身が作詞を手がけた楽曲。ステップを踏みながら歌う彼女の姿に、会場には緩やかな空気が流れる。ラストスパートでは、アッパーチューン「Hey! カロリーQueen」「らっきーちゅーん♪」と畳み掛けていき、「Hey! カロリーQueen」での伊藤のベースラインはさらに凄みを増す。ゴリゴリの歪んだ低音を響かせるそのサウンドに、筆者はRed Hot Chili Peppersのフリーを思い浮かべたほど。これが決して過言ではないことをあの場にいた方なら分かって頂けるはずだ。本編ラストは、竹達とファンとの絆の楽曲とも取れる「Happy Future」を歌い上げ幕を閉じた。

 

 “あやち”コールに応え再度ステージに現れた竹達は、アンコールにて筒美京平の書き下ろし楽曲である「齧りかけの林檎」、すっかりセットリストには欠かせないライブチューンとなった「CANDY LOVE」「ライスとぅミートゅー」の3曲を披露。「CANDY LOVE」では会場を揺らすほどの盛り上がりを見せ、自他ともに認める“肉好き”の彼女のための楽曲「ライスとぅミートゅー」では<アイ ラブ ビーフ!>の大合唱を巻き起こし、バンドメンバーと背中をあわせ笑顔を振りまきながら大団円を迎えた。

 ライブの幕間にスクリーンに流れるアニメのストーリーは、竹達の歌声により邪悪な影を消し去り、お城には平和が訪れるというものであった。物語に登場する王妃は竹達にこう告げていた。「誰の心にも影はある。ですが、それ以上に誰の心にも光はあります。そして、あなたはきっとこれからもたくさんの光を灯していけると私は信じています」。2017年、竹達はデビューから5周年を迎える。彼女自身からも“ニューあやち”という期待を込められた言葉があった。竹達がどのような新しい顔を覗かせてくれるのかにも胸が弾むが、一つ確かなことは、彼女がこれからも多くのファンにとって光を灯してくれる存在であるということだろう。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

■セットリスト
『竹達彩奈 LIVE2016-2017 「Lyrical Concerto」』
1月15日(日)中野サンプラザホール

SE.JUMP AND DASH!!!
01.SWEETS is CIRCUS
02.♪の国のアリス
03.Little*Lion*Heart
04.AWARENESS
05.キミイロ モノローグ
06.ナナイロ⇔モノクロ
07.翼
08.じゃじゃ馬Way To Go
09.君に恋シテル。
10.Starline
11.Miss. Revolutionist
12.朝焼けと約束の歌
13.パルス通信
14.ユメイロソレイユ
15.Hey! カロリーQueen
16.らっきーちゅーん♪
17.Happy Future

EN18.齧りかけの林檎
EN19.CANDY LOVE
EN20.ライスとぅミートゅー

竹達彩奈スペシャルサイト

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