転がり続けるa flood of circle、「鬼殺しナイト」で見えた次のステージ

 

 

 アンコールではメンバーそれぞれが2017年の抱負を語ると、佐々木は「ビルボードでのライブとか、『鬼殺しナイト』とかやって“どこ向かってるんだろう”と不安な人もいるかもしれないけど、次のアルバムのツアーでその答えを見せます」と、今後の活動への期待感を煽った。観客の掛け声とともに年明けらしく鏡割りをすると、新アルバムの表題曲で1曲目に収録される「New Tribe」を披露。特効と共に一気に目の前が開けるような勢いのイントロから始まると、サビでは<生まれ変わるのさ>と佐々木が切実な声で繰り返し歌いあげ、“日本をひっくり返す”アルバムの始まりにふさわしい、前向きでより多くのリスナーに届く可能性を秘めた楽曲だと感じた。最後は「God Chinese Father」を歌い、「大好き、愛してる、そして…<馬鹿野郎!>」とこの日4度目の「鬼殺し」へ。約90分間をノンストップで駆け抜けたライブを終え、佐々木が満足げな笑顔を見せていたのが印象的だった。

 

 時に語りかけるように、時に吠えるようにリスナーに訴えかけるAFOCの音は常に進化を続けている。佐々木の力強いボーカルやソングライティング力のみならず、色気を足すようなHISAYOのベース、骨太なロックを生み出す渡邊のドラム、若さほとばしるアオキのギター……それぞれが一皮剥けたようだった。佐々木の自信に満ちた言葉と眼差し、そしてアルバム表題曲「New Tribe」の<君を連れてく 約束の地へ>という歌詞から、転がり続ける彼らによる次の全国ツアー『NEW TRIBE-新・民族大移動-』でも新境地へと踏み出し、より気高く美しい景色を見せてくれることを予感した一夜だった。

(文=村上夏菜/写真=丹澤由棋)

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