16thシングル『サヨナラの意味』リリースインタビュー
乃木坂46 高山一実、初フロントの喜びとグループの現在地を語る「全部がいい方向に進んでいる」
乃木坂46が通算16枚目のニューシングル『サヨナラの意味』を、11月9日にリリースする。本作の表題曲では、先日グループからの卒業を発表した橋本奈々未が初めてセンターを担当。これまで「制服のマネキン」「君の名は希望」「きっかけ」など数々の名曲を乃木坂46に提供してきた杉山勝彦作曲による、切ないピアノの旋律と美しいメロディが耳に残るミディアムナンバーだ。
またこの曲では、高山一実が初めてフロントメンバーに就任。数々のバラエティ番組出演に加え、小説の連載、初の写真集『恋かもしれない』出版などソロでの活躍が、ついに結果として身を結んだ。今回はそんな高山にフロントに対する思いや最近の乃木坂46の大躍進について、「サヨナラの意味」をはじめとする「乃木坂46らしい楽曲」に対する自身の考えをたっぷり語ってもらった。(西廣智一)
「3列目にいた頃に感じてた心配がほぼなくなった」
ーーまず最初に、新選抜でのフロント入りおめでとうございます。
高山:ああ、嬉しい(笑)。ありがとうございます!(10月16日深夜放送のテレビ東京系『乃木坂工事中』で)選抜発表されてから、これが最初の取材なんですよ。そう言っていただけて本当に嬉しいです。
ーー高山さんがデビューからこれまでフロントを経験していないのは、とても意外なんですよ。
高山:いやいや、そんな。特にこれといった理由が思いつかなくて、自分でもなんで選ばれたのがわからないんです。3列目の端にいた頃の自分と今も何も変わってないし、なんなら乃木坂46に入る前の自分ともあまり変わってないから、何が決め手だったのかなって。
ーーバラエティ番組での活躍をはじめ、ソロで数々の結果を残してきたからだと思いますが?
高山:それだけじゃないと思うんですけど……ただ、顕著に表れていることとしては、昔よりも乃木坂46全体のファンの数が増えていて、高山一実のファンの数もだんだんと増えているのを体感できる。それはすごく嬉しいですし、3列目にいた頃に感じていた「前に出られたら嬉しいけど、きっと不安もあるだろうな」という心配がほぼなくなって、今こうしてフロントに立てているというのはすごくありがたいなと思います。
ーーフロントに対する不安を感じていたと。確かに初期の高山さんって、その不安が表に出てましたものね。
高山:そうですね(笑)。今のアイドルってリアルさを見せていかなきゃいけないのかなと思っていたので、そういう不安を隠して笑顔でいるよりは不安も表に出してました。実際、自分に自信がないことも口に出していたし。でも今は考え方が変わったのかな。
ーーそれはソロでメディアに出る機会が増えて、少しずつ自信が付いたというのもあるんでしょうか?
高山:それが大きいかも。あとはいろんな仕事をすることに対して、以前はいっぱいいっぱいだったのが今はちょっと余裕が持てるようになったのも大きくて。例えば仕事でのオンとプライベートでのオフの切り替え方がちゃんとできるようになったぶん、友達とごはんに行って話を聞いてもらったり読書をして現実逃避をしたりして、仕事で感じたつらさや大変さを一度自分の中で消化してから次の仕事に臨めるようになった。それを上手にできるようになってきたから、仕事がどんどん楽しくなってきてるのかもしれないですね。
「自分の出来が最終的に乃木坂46の評価にもつながる」
ーーそこのメリハリが付けられるようになったのって、かなり大きいと思うんです。
高山:そうですね。それに、5年前と比べて今のほうが露出も増えて忙しそうに見えるじゃないですか。でも私の体感的には初期の、『おいでシャンプー』の時期(2012年前半)のほうが忙しかったなって。
ーーそれは意外な意見ですね。
高山:あの時期は指原(莉乃)さんとの対決があったし、地方を回るキャンペーンとかミニライブとかも多くてお休みもなかなかなくて。あの時期のつらさに比べたら、今のほうが楽に感じますよ。
ーーあの頃は大半の仕事をメンバー全員で対応していたところを、今は複数メンバー、あるいは個人に任せられるようになったのも大きいんでしょうね。
高山:それはあります。個々の力が強くなったことによって、以前は全員で挑んでいた仕事をだんだんと少人数でするようになって、最近ではひとりに任せてもらえるようになった。例えば『「ぷっ」すま』(テレビ朝日系)に出させていただくときも昔は6人ぐらいだったのに、最近は私やいくちゃん(生田絵梨花)がひとりで出させていただいているんです。それはとてもありがたいことですし、目に見えて状況が変わったなと思いますね。
ーーそう考えると、すごいことですよね。
高山:そうですよね。もちろんその時代その時代の良さというのはあると思うし、昔の乃木坂46のほうが好きだったという人もいると思うんです。でも、だからといって今も同じことをしたらいいのかと言われると、それも違う。今『「ぷっ」すま』に6人で出たとしたら、1人ひとりが強すぎてガチャガチャしてよくわからなくなるかもしれない。ひとりに任せるというのは力が6分の1になることじゃなくて、6人分をカバーできるような経験値や頑張ろうという自覚があるからできることだと思うんです。自分の出来が悪かったらそれは自分の責任だし、最終的にはその結果が乃木坂46の評価にもつながる。その緊張感を常に持って仕事に臨めるようになったから、いろんな仕事ができるようになったんだと思います。だって、自分の知らないところで他のメンバーがこんな仕事をしたんだっていうことが増えましたからね。
「舞台を観ると、メンバーをひとりの女優として見てしまう」
ーーそんな高山さんから見て、この1年で特に成長したなと思うメンバーっていますか?
高山:やっぱりすごいのはいくちゃん。大きな舞台がふたつ(2017年上演予定の『ロミオ&ジュリエット』と『レ・ミゼラブル』)も決まったことかな。私は高校のときに声楽を習っていて、音楽大学への進学もちょっと視野に入れていたんですね。なので『レ・ミゼラブル』のことはもちろん知っていたし、そこに出ている役者さんはどういう経歴を持った人なのかも知っていたので、そこでいくちゃんがコゼット役を務めるというのは衝撃以外のなにものでもなくて。私はあまりメンバーにLINEをするタイプじゃなくて、会ったときに直接伝えるようにしてるんですけど、あのときだけはすぐに「いくちゃん! すごいね!」って送ったんです。そうしたら「かずみん、いつもと文面が違った!」って返事が来て。興奮のあまり文章が荒ぶってたみたいです(笑)。
ーー(笑)。
高山:いくちゃん以外にも、2期生にはこの1年間で変わったメンバーは本当に多いですよ。舞台組もすごいですし。舞台の稽古中は舞台組となかなか会えなくて、本番を観るときが久々の再会になるんですけど、いつもひとりの女優として見てしまって「本当に同じメンバー!?」と驚くんです。生駒(里奈)ちゃんなんて去年『すべての犬は天国に行く』に出てから「演技が楽しい」とよく言うようになったし、今年は『こち亀』(9月に上演された『舞台版 こちら葛飾区亀有公園前派出所』)に乃木坂46からたったひとりで出演した。好きなことに対してちゃんと実力が発揮されて、それが評価されて次の舞台につながるというのはすごいことですよね。しかも生駒ちゃんは乃木坂46の顔でもあるから、他にもいろんな場面で活躍していて、仕事の幅がどんどん広がっているし。その一方で、今まで切り開いてきた道でより深く頑張っているまいやん(白石麻衣)もいる。まいやんは女子から憧れられるモデルさんという道を追求してきた結果、今ではランウェイを歩くときの歓声が他のモデルさんにも負けないぐらいの唯一無二な存在になりましたしね。