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「宗像明将の現場批評〜Particular Sight Seeing」第31回 Maison book girl『Solitude HOTEL 2F』

Maison book girlが2ndワンマンで示した、アイドル・J-POPシーンにおける特異性

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 2016年11月6日に渋谷WWW Xで開催されたMaison book girlのセカンドワンマンライブ『Solitude HOTEL 2F』は、アイドルシーン、ひいてはJ-POPシーンにおけるMaison book girlの特異性を浮きあがらせるのに充分なものだった。それは音楽面においても、存在感においてもだ。

 コショージメグミ、矢川葵、井上唯、和田輪からなるMaison book girlは、2016年11月30日に<徳間ジャパンコミュニケーションズ>からシングル『river (cloudy irony)』でメジャー・デビューする。それを目前にした今回のワンマンライブは、キャパシティ約700人のWWW Xのチケットが即日ソールドアウトし、現在のMaison book girlの勢いを見せつけた。10月には『Next Music from Tokyo vol 9』に出演し、カナダ・ツアーも行ったばかりである。

 会場に入ると、「Maison book girl Solitude HOTEL 2F」という文字がスクリーンに映しだされ、そしておそらくはプロデューサーのサクライケンタの手による穏やかなインストゥルメンタルが流されていた。

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 冒頭は「opening SE」。スティックを鳴らすような音にピアノなどが加わり、やがてストリングスも響く厚い音色になっていき、さらにドラムのキックが鳴りはじめた。スクリーンには、水に濃いインクを垂らしたかのような映像が流されている。

 そして、最後にドアが閉まる音が響くと、Maison book girlのメンバーがステージに登場。鳴りだしたのは、メジャー・デビュー・シングルに収録されている「cloudy irony」だ。アイドルのメジャー・デビュー・シングルのリード・ナンバーが7拍である事例は他に存在するのだろうか。しかも歌詞には<体を重ねる度に何かを失って>というフレーズまである。

 そして、「cloudy irony」でのMaison book girlのダンスは、「アイドルの振り付け」というよりコンテンポラリー・ダンスのようだ。それはまるで、現代音楽に影響されたサクライケンタによる楽曲に呼応しているかのようだった。

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 音楽的に特異であるがゆえに、Maison book girlは2014年に活動を始めたとき、どこへ向かうのかはわからなかった。しかし、一般的な「アイドル」に何ひとつ迎合することもなく、この日のステージでは約2年の活動で結実したものを堂々と提示していた。「cloudy irony」を歌い踊るMaison book girlを見ながら感じていたのは、そんなことだった。
 
 「snow irony」では、矢川葵が可愛らしい声で「オイ! オイ!」と煽り、さらに<許さない><知らない>という歌詞に合わせてファンも叫ぶ。フロアではリフトも激しくなっていた。そうしたノリがあるということは、ファンもMaison book girlをポップスとしてごく自然に受容している証拠だ。

 「bath room」では、ファンから7拍のリズムでクラップが起きる。「リフトの位置が高いな……」と見ていると、そのままファンがクラウドサーフしていった。

 そんなフロアの光景とは対照的に、Maison book girlは淡々と儀式のようにステージを進行していく。いや、「淡々と」と言うのは語弊がある。そこには、フィジカルな熱を秘めながら踊る身体性が確実に存在しているからだ。

      

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