Hi-STANDARD、突如リリースの新作はどう広まった? “フラゲ日”以降の盛り上がりを追う

 

 さて、改めて“フラゲ日”となった10月4日(火)以降の動きを、当日朝から振り返ってみよう。最初の一報は11時過ぎ、Twitterを通じて届けられた。「ハイスタの新作!?」「マジで!? マジで!!」「ちょっ! ホントだ!」など驚きの声が次々に挙がるのを目にしたロックファンは、その真偽を確かめようと自らCDショップに足を運ぶ。そしてショップ内に陳列されたCDを目にし、実物を手にして、これが真実であることを改めて実感した。私もこの日は朝からTwitterで「ハイスタ」「ハイスタ 新作」で検索して、その生の声1つひとつを拾い上げていた。そして午後になると渋谷へと繰り出し、その状況をこの目で確かめていった。

 渋谷へと向かう電車の中でも、Twitterで情報を拾うのは忘れない。ここで「渋谷タワレコ、ハイスタもう売り切れ!」というツイートを目にして動揺もしたが、これが一時的なものでその後店頭に補充されたことも実際にこの目で確認した。

 タワーレコード渋谷店では、1F入口近くにハイスタコーナーが展開されていた。設置されたモニターには「ANOTHER STARTING LINE」のMVが映し出され、その周りには「ハイスタ!!!新曲!!!」「大歓喜!!!」「まさか本当にこんな日が来るなんて!!!」「おかえり!僕らのパンクヒーロー!!!」と手書きのポップが貼り付けられている。この、夢とも現実とも判断つかないような(いや、現実なのだが)夢のような光景を、ショップに集まった幅広い年代のファン……ただボーッとその光景を見つめるだけの者もいれば、待ちきれずに試聴機で新曲を聴く者、携帯で興奮気味にその事実を伝える者、嬉しそうな笑顔で写メを撮る者など……彼ら、彼女らはみな、思い思いのアクションの後に、CDを手に取りレジへと向かっていく。このレジ列は時間帯によっては長蛇の列となり、並ぶお客の手にはハイスタのCDが握られていた。

 この光景は、何も渋谷タワレコだけのものではない。同じ渋谷に店を構えるSHIBUYA TSUTAYAでも同じような景色を目にすることができたし、タワーレコード新宿店でも店頭で写メを撮る者やレジ前の行列は確認できた。特に学校や仕事を終えたファンが店頭にたどり着いた夕方以降はレジ列もより長くなり、世間一般で言われるCD不況は嘘なんじゃないか?と思えるほどだった。

 午後になるとさまざまな音楽ニュースサイトも、この情報を伝えようと店頭やネット上での情報を元に記事を配信。各メディアにもレーベルからの新作情報は一切届いていなかったため、彼らはメンバーの意図を知らぬまま現場等の事実のみを伝えるに止まった。

 この“口コミ”の広まりは、一般のロックファンのみならず、ハイスタに憧れたミュージシャンたちにも広まっていく。Twitterでは自身のハイスタに対する思いやハイスタとの出会いなどが熱く語られると同時に、今回のリリース方法に関して「今のハイスタにしかできない手法!」と絶賛の声が寄せられた。

 そして正式な発売日である10月5日(水)正午、バンドサイドおよびPIZZA OF DEATH RECORDSから今回のリリースに関する情報が公開。と同時に、12月7日のカバーシングル発売、東北3県+新潟を回るショートツアー『GOOD JOB! RYAN TOUR 2016』の開催も解禁された。一晩のうちに収まると思っていたハイスタ熱は、ここからさらに加速。すでに一部店舗では品切れも続出するなど、その盛り上がりは我々の想像を超えるものとなった。さらに10月6日(木)には朝のワイドショーや『NEWS ZERO』(日本テレビ系)などのニュース番組でもこの熱狂ぶりが伝えられた。

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