関ジャニ∞、冠番組好調で充実期へ 『クロニクル』と『関ジャム』から“強み”を探る

 さて、こうしてそれぞれの番組にふれてみて改めて思うのは、『クロニクル』がさまざまなコーナー企画を揃えたお笑いに徹したバラエティ、『関ジャム』がアーティストや音楽ジャンルを深掘りする音楽番組というように、二つの冠番組の棲み分けがきちんとできているところだ。

 もちろんそれが可能なのは、関ジャニ∞の対応能力の高さがあるからである。お笑いであれ音楽であれ、あるいはほかのジャンルであれ、自分たちのものとして消化して表現できる、そんな柔軟性が彼らにはある。

 それは、ジャニーズのエンターテインメントの持つ「ノンジャンル」の楽しさにも通じるように思える。ジャニーズのエンターテインメントは既成のジャンルにとらわれない。和であれ洋であれ、古典であれ前衛であれ、これは面白いと判断されたジャンルがこだわりなく取り入れられてブレンドされ、ひとつのショーとして提供される。そうしたところから醸し出される「ジャンルの坩堝」的な楽しさが“ジャニーズらしさ”の重要な一部だろう。

 ある意味では、テレビというメディアもそうした面が本質的な魅力だ。テレビもまた、ジャンルにこだわらずあらゆるものを貪欲に取り込み、映し出す。特にバラエティ番組は、「バラエティ=多種多様さ」という名が示す通り、「ノンジャンル」のジャンルとして発展してきたいかにもテレビ的なものだ。

 関ジャニ∞は、ジャニーズとテレビに共通するそうした楽しさを、彼らならではの旺盛なサービス精神で表現してくれる。その点、関ジャニ∞は、いまやジャニーズとテレビをつなぐ欠かせない存在になりつつある。と同時に、『クロニクル』と『関ジャム』は、彼らのファンやジャニーズファンだけでなく、テレビ好きであればいま見ておいて損はないクオリティを持った番組であると言っていい。

■太田省一
1960年生まれ。社会学者。テレビとその周辺(アイドル、お笑いなど)に関することが現在の主な執筆テーマ。著書に『中居正広という生き方』『社会は笑う・増補版』(以上、青弓社)、『紅白歌合戦と日本人』『アイドル進化論』(以上、筑摩書房)。WEBRONZAにて「ネット動画の風景」を連載中。

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