森朋之の「本日、フラゲ日!」vol.10

WANIMAはシーンのど真ん中に躍り出たーー8月3日発売の注目新譜5選

 その週のリリース作品の中から、押さえておきたい新譜をご紹介する連載「本日、フラゲ日!」。8月3日リリースからは、GLAY、WANIMA、HOWL BE QUIET、サニーデイ・サービス、吉澤嘉代子をピックアップ。ライターの森朋之氏が、それぞれの特徴とともに、楽曲の聴きどころを解説します。(編集部)

GLAY『[DEATHTOPIA]』(SG)

 約7年8カ月ぶりに(!)オリコンチャート1位を獲得した『G4・IV』に続く2016年2弾シングルは、アニメ『クロムクロ』(TOKYO MXほか)の第1期・第2期のオープニングテーマ「デストピア」「超音速デスティニー」による両A面。どちらもHISASHIが作詞作曲を担当していて、「デストピア」は高速のビートととともにメンバー全員のフレーズがアグレッシブに絡み合うロックナンバー、「超音速デスティニー」はエキゾチックなギターリフ、メタリックなサウンド、緊張感に溢れたメロディがひとつになったアッパーチューン。アニメソングにも造詣が深いHISASHIの楽曲により“GLAY×アニソン”というテーマを高い精度で実現している。

 さらに「JUSTICE【from】GUILTY」「微熱(A)girlサマー」といったHISASHI作曲による楽曲のライブ音源6曲が収録され、まさにHISASHIオリエンテッドなシングルに仕上がっている。ひとりのメンバーにここまでフォーカスを絞ってもバンド内のバランスが崩れないのも、GLAYならでは。他のメンバーに焦点を当てたシングルも聴いてみたい。

GLAY「デストピア/超音速デスティニー」

WANIMA『JUICE UP!!』(SG)

 フジロック、ROCK IN JAPAN FESTIVAL、SWEET LOVE SHOWERなど10数本の夏フェスに出演、さらに7月29日放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出演するなど、デビューからわずか2年弱で完全にブレイクを果たしたWANIMAのニューシングル。ニベア花王『8 × 4』のCMソングに起用された(←これもいまの10代にWANIMAが支持されている証左のひとつだと思います)真っ直ぐな前向きソング「ともに」、高速のスカビート〜サンバ・ホイッスル〜ダンスホールレゲエ的な展開を力技で融合させたサウンドが印象的な「オドルヨル」、メロコア直球のアレンジによる「切手のないおくりもの」のカバー、そして、エモーショナルなメロディと美しいコーラスワーク、オーディエンスへの強い思いを描いた歌詞がひとつになった「For You」を収録。どんな現場でも必ずアゲまくるライブパフォーマンスで注目を集めている彼らだが、この4曲からは、その音楽的な質の高さがしっかりと感じられる。MONGOL800が発明した“メロコア×抒情的な歌”というスタイルを継承しつつも、レゲエ、ヒップホップ、フォークなどを混ぜ合わせることで、ブチ上がりながら大合唱できるバンドとしてシーンのど真ん中に躍り出たWANIMA。その魅力が端的に伝わるシングルである。

WANIMA「ともに」

HOWL BE QUIET『Wake We Up』(SG)

 メジャーデビューシングル『MONSTER WORLD』によって、それまでのギターロックバンドのスタイルからエレクトロ/EDMを大胆に取り入れたポップ・ユニットへとスタイルを変化させたHOWL BE QUIET。TVアニメ『DAYS』(MBS、TOKYO MXほか)のオープニングテーマとして制作された「Wake We Up」でも同じ路線を続けているわけだが、まさかここまでポップに振り切ってくるとは思わなかった。心地いいスピード感あふれたエレクトロ系のトラック、カラフルな広がりを見せるメロディライン、<君の未来だって/僕がずっとお供しよう>という王子様系のリリックを含め、まるでアイドルポップスの様相を呈しているのだ。ライブではどうやってパフォーマンスするのだろうか? と思ってしまうが、この潔さは正解だと思うし、何よりも現代的なポップミュージックとして成立しているところが素晴らしい。優れたポップスメイカーとしての資質を示し始めている彼らだが、この方向性をどうやってHOWL BE QUIETの独自性に結びつけるかは、正直言ってまだ未知数。それが実現したとき、彼らは既存のアーティストとはまったく違うスタイルを手に入れることになるだろう。

HOWL BE QUIET「Wake We Up」

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