AKB48『選抜総選挙』に与える影響は? 『SHOWROOM』合同配信企画が生み出す“熱量”

 AKB48グループが6月18日、HARD OFF ECOスタジアム新潟にて『AKB48 45thシングル 選抜総選挙~僕たちは誰について行けばいい?~』を開催する。それに先立って、6月1日に投票券の封入されているシングル『翼はいらない』がリリースされ、同日には中間速報が発表された。

 ここまでは例年の『選抜総選挙』と同じ展開だが、今回は開票イベントまでの期間で新たに大きな企画がスタートしている。それが、6月6日から6月17日まで実施中の『AKB48 45thシングル 選抜総選挙 × SHOWROOM』だ。

 同企画は、動画ストリーミングサービス『SHOWROOM』内に設置された総選挙立候補メンバー272人全員分の各配信ルームにおいて、メンバーが任意で生配信を行なうというもの。 配信はメンバー自身のタイミングで行なわれており、各人がほかメンバーと差別化を図るべく、様々な企画を実施中。インターネット上のファンサイトなどでは、これまで大きく取り上げられることのなかったメンバーが、今回の配信を機に名を上げることに成功している。

 この施策に対し、『「アイドル」の読み方: 混乱する「語り」を問う』の著者であり、AKB48グループに詳しいライターの香月孝史氏は、SHOWROOMでの配信とほかSNSとの違いを指摘する。

「AKB48グループは、アイドルシーンにおいてSNSを一番有効的に活用してきた組織です。SHOWROOMは生放送をメンバー個人の手に委ねるため、生の現場感を含む点が、TwitterやInstagram、755など48グループが並行して用いている他のSNSと異なる面白さを生んでいます。個人による生配信であるぶん、セキュリティ面でのケアも重要になり、運営がメンバーに細かなルールを伝達していることも伺えます。今回は総選挙連動企画なので、ひとまず期間を限った試みになりますが、短期限定であることは、新たな表現のためのツールを試すうえでも良い機会になるのではないかと思います」

 また同氏は、メンバーごとに配信回数・時間に違いが生まれる同ツールだからこそ持つ利点について、下記のように述べた。

「他のSNSでの告知効果や、配信のタイミング・頻度によって視聴者数のベースが違ってくることもあり、その意味では全メンバーが同一の条件ではないはずです。そうしたこともあり、SHOWROOM内のポイントランキングでは、各人の知名度などとはまた違う基準でメンバーの名前が並んでおり、今回の場を与えられたことを機に、自己表現の新たな方向性を掴みつつあるメンバーも現れているように思います。もともと、AKB48グループは、SNSをはじめ大小の自己表現の場をいくつも用意して、それらをメンバーたちが自在に乗りこなすさまこそが大きな醍醐味になっている組織です。今回のSHOWROOMもまた、そうしたグループの基本性質が現れた施策だと思います。見る側としては、SHOWROOMのページを見られるタイミングで見たいメンバーが配信しているとは限りませんが、そのぶんSHOWROOMを活用しているメンバーに思わぬ形で出会う機会もあるかもしれません」

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