kōkua、メンバー全員インタビュー(前編)「5人の音楽性がミックスされて“らしさ”が生まれる」

kōkuaが作り上げた普遍的な音楽

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「5人でできる限りのサウンドを作ろう」(武部聡志)

――スガさんは「夢のゴール」に加えて「砂時計」「幼虫と抜け殻」「Blue」という曲を作ってますが、kōkuaとソロの切り替えはどんな感じだったんでしょう?

スガ:やっぱり、kōkuaはみんなと演奏している時のことを考えますね。だからこういうロックっぽい感じの方がいいだろうなって。で、アイディアの段階も含めて6、7曲くらい武部さんに全部預けて。で、後は武部さんに選んでもらってバランスを取ってもらおう、と。

――スガさんの中の「ロックっぽさ」ってどういうところなんでしょう?

スガ:あの……ベースがねぎちゃんっていうところが一番デカいかな。

根岸:俺のせいなんだ(笑)。

スガ:自分のリズム感で曲を作るとすごく黒くなっちゃうから、ねぎちゃんが弾いてる感じで曲を作るんですよ。

「メロディが降りてきた」(根岸孝旨)

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根岸孝旨

――なるほど。根岸さんはドラマ「ふれなばおちん」の主題歌になった「黒い靴」を書いていますが、これは?

根岸:実はもともと、バンドのミーティングの時に、僕はバラードを書きますって言ったんですよ。

スガ:ああ、良いバラードだった、あれはすごく。

根岸:で、最初はバラードを作ったんだけど、武部さんに「ちょっとあそこのメロディどうかねぇ」って言われて。「じゃあ考えておきます」って言ったんだけど、「そうかぁ」って言ってギターを持って「ジャーン」ってやった時に、これは本当なんですけど、何か降りてきちゃったんですよ。「あ!」って思って、本当に一気に書いちゃった。で、「武部さん、直せって言われた曲と違うのができちゃったんですけど」って言ったら「こっちの方が良い」って(笑)。やっぱり、悩まないで作ったものっていうのはやっぱりインパクトがあるみたいで。

武部:最初にタイアップも決まるしね(笑)。

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小倉博和

「ライブでみんなで盛り上がれる曲を」(小倉博和)

――小倉博和さんの書かれた「道程」は歌詞も歌もご自身で手掛けていますが、これは?

小倉:ちょっと冒険ではあったんですけど、アルバムの中にギタリストが歌ってる曲が入るのも、バンドの幅としては楽しいんじゃないかと思って。そういう考えを話したら、武部さんも、ローリング・ストーンズでもキースがセンターに行って歌う曲があるじゃんって。やっぱりそのイメージもあって、まずリフを考えよう、と。で、サウンドもそうだけど、歌詞もアメリカンな方向にしようと思いましたね。情報量が少なくて、短いセンテンスで、明るいムードがあるもの。後は、ライブの中でみんなで盛り上がる、そういう役割を持てるような曲を作ろうっていうことです。とにかくスガ シカオくんと一緒にデュエットできるなんて話、ここでしかないと思って(笑)。

――豪太さんは「1995」を書いています。これは?

屋敷:僕は、皆さんがどういう曲を出してくるかとかも分かってなかったし、ストックがいっぱいあって、その中から3パターン持ってきた感じです。武部さんに「これじゃない?」って決めてもらったという。

――武部さんは、みなさんの曲、ご自身の曲、それをアルバムという一つの全体像にする中ではどんなことを考えましたか?

武部:みんなが集まる時間が少なくてね、これはアルバムもう、ミニアルバムじゃないかみたいな時期もあったわけ。曲足りないし、みたいな。

小倉:時間もないわ曲もないわっていう(笑)。

武部:だけど、「夢のゴール」と「Progress」が最初と最後にするのは決めていて。そこに至るストーリーを描いていくために、やっぱりそれぞれの書いた曲が入ってくる。僕は箸休めに当たる曲をインストで書こうと思ってた。それが「BEATOPIA」で、最後にバンドが集まったセッションの日に「せっかくみんなで集まって音を出せるのが最後だから、もう1曲録ろうよ」って言って最後に録ったのが「kōkua's talk 2」。これはラップになった。だから結果的には2曲入った感じなんだけど。

屋敷:久しぶりに夜中のレコーディングでしたね。

――アルバムには2曲のカバー曲が収録されています。1曲は豪太さんが所属されていたシンプリー・レッドの「Stars」、そしてもう1曲は岡林信康さんの「私たちの望むものは」。このセレクトは?

スガ:岡林信康さんの曲は僕がやりたかったんです。これはわがままを言わせていただきました。

――これはなぜ?

スガ:これ、個人ではカバーする意図も覚悟も持てないくらい強い曲なので、ソロでは絶対できないんです。けど、やりたい気持ちはあって。だから、邦楽を1曲カバーやろうよってなった時に「もうアレしかないわ」って。

――「Stars」に関しては?

武部:「Stars」はもう満場一致でしたね。洋楽をやるんだったら豪太がいたシンプリー・レッドの曲は絶対にやろうって。

屋敷:僕的にはちょっとびっくりだったけどね。「え、しかも日本語でやるの?!」って。で、決まったら速攻マネージャーに連絡しました(笑)。「許諾よろしくね」って。

――このインタビューをしている現在はまさにライブツアーのリハの真っ最中ですが、ステージはどういうムードになりそうでしょうか?

スガ:僕、センターにドラムがないのが初めてなんですよ。あれがまず異次元なんですよね。自分のソロとは全く違う。

武部:やっぱり、スガくんのソロではやれないようなライブにはしたいと思いますよね。それは演奏もそうだし、それ以外のいろんな、ライティングとか映像もそう。

――アルバムを聴いても、やっぱりこれだけの方々が集まっているだけに、すごく音の鳴りの良さ、音楽としての豊かさを感じます。そういう意味ではライブもとても楽しみです。

武部:レコーディングでも、とにかくこの5人でやれることをやろうって言ったんですよ。だから、5人以外のミュージシャンは誰も参加してないのね。ストリングスとか、ブラスとか、パーカッションとかも一切入ってない。5人でできる限りのサウンドを作ろうっていうアルバムですからね。

スガ:だから、ライブも音を出したら、そのままになると思いますよ。(後編に続く)

(取材・文=柴 那典)

■リリース情報
『Progress』
発売:2016年6月1日
価格:¥3,000(税抜)
〈収録曲〉
1.夢のゴール
(NHK総合「プロフェッショナル 仕事の流儀」挿入歌/田島ルーフィングCMイメージソング)
作詞・作曲:スガ シカオ 編曲:武部聡志、小倉博和
2.幼虫と抜け殻
作詞・作曲:スガ シカオ 編曲:kōkua
3.砂時計
作詞・作曲:スガ シカオ 編曲:kōkua
4.1995
作詞:スガ シカオ 作曲・編曲:屋敷豪太
5.BEATOPIA
作曲・編曲:武部聡志
6.Blue
作詞・作曲:スガ シカオ 編曲:kōkua
7.Stars
原作詞・作曲:MICK HUCKNALL 編曲:kōkua 日本語詞:スガ シカオ
8.道程
作詞・作曲・編曲:小倉博和
9.kōkua's talk 2
作詞:スガ シカオ 作曲・編曲:武部聡志
10.黒い靴
(NHK BS プレミアムよるドラマ「ふれなばおちん」主題歌)
作詞:スガ シカオ 作曲・編曲:根岸孝旨
11.私たちの望むものは
作詞・作曲:岡林信康 編曲:kōkua
12.Progress(NHK総合「プロフェッショナル 仕事の流儀」主題歌)
作詞・作曲:スガ シカオ 編曲:武部聡志、小倉博和

■ツアー情報
kōkua Tour 2016『Progress』
6月4日(土)福岡・福岡国際会議場メインホール
6月14日(火)名古屋 日本特殊陶業市民会館ビレッジホール
6月17日(金)大阪・NHK大阪ホール
6月24日(金)東京・NHKホール
http://www.sugashikao.jp/lp/kokua2016/

■kōkua special website
http://www.jvcmusic.co.jp/kokua/

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