kōkua、メンバー全員インタビュー(前編)「5人の音楽性がミックスされて“らしさ”が生まれる」

kōkuaが作り上げた普遍的な音楽

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「やりとりはわりとLINEを使ってました」(スガ シカオ)

――アルバムについてもお話をお伺いしようと思うんですが、これはまずどういうところから作り始めたんでしょうか。

スガ:まずは番組用に「夢のゴール」という曲を作ったんです。スタッフと話す中で「Progress」のアンサーソングを書こうというテーマが出て。で、10年で何がどう変わったのかを考える中で、武部さんから、震災があって、我々の心に「共生」って言葉が強く響くようになったという話があって。「そういうのが歌の中に反映されるといいな」とか、すごく難しいことを言われて(笑)。それで、いろいろ悩み抜いて作ったんですよ。

――テーマ設定としてはとても難しいですね。

武部:でも、単純に「みんなで力を合わせて頑張ろう」みたいな歌にはしたくないから。もちろん、スガくんがそういう安直な歌を書くとも思わないし。スガくんならそこでちょうどいい塩梅の答えを導き出してくれるんじゃないかな、って思ったわけですよ。

スガ:でも、あの曲は相当悩みました。悩みすぎて覚えてないくらい(笑)

――この曲では、夢を持った主人公のその後の姿が描かれています。

スガ:武部さんからすごくいろんなことを言われたんだよね。「Progress」の主人公は、夢を追いかけてあと1歩だって言ってるけど、その後どうなったんだろうね、とか。

武部:「Progress」って「あと一歩だけ前に進もう」ていう、肩を叩くというか背中を押す歌だと思っていて。この「夢のゴール」っていうのは、「共生」っていうほど大げさなテーマではないのかもしれないんだけど、誰でもやっぱり持っているもの夢とか未来のビジョンみたいなものを、僕らなりの見方で描けたらいいなっていうのが一つあったのかな。でも、スガくんがもっと簡単な言葉で書いたらすごく陳腐なものになってしまったと思うの。だけどすごく文学的な書き方をしてくれた。だから、この歌もきっと普遍的な要素は持ってるんじゃないかと思うね。

――「Progress」に加えて「夢のゴール」という曲ができたことで、アルバムの軸はハッキリした感じでしたか?

武部:うん。テーマとか、サウンドのイメージとか、柱はできた感じですね。

――で、実際にアルバム制作に向けてのミーティングが始まったのが今年に入ってからということですが、そこではどんな話し合いがあったんでしょうか?

小倉:最初はとにかくいろんな意見を出し合おうって感じでしたね。「全曲カバーでいいんじゃない?」みたいなのもあったし、それぞれが1曲ずつプロデュースしようみたいなのもあったし。

スガ:最初はあまり決めずにみんな会議室で好き勝手言ってた感じでしたね。で、俺は自分のアルバムを作り上げた直後だったので、身体に何も残ってなくて。6月にリリースするとなると最低でも7、8曲は歌詞を書かなきゃならない。曲も書かなきゃならない。普段だったら全然できるんだけど、ちょっと不安はありました。

――ストックを出そうというつもりはなかった?

スガ:kōkuaはロックバンドなので。俺のオリジナルはもうちょっとブラック・ミュージック寄りだし、ストックは全く使えないと思ってましたね。

――それぞれが曲を持ち寄るっていうのはどのように決まっていったんでしょうか。

武部:僕がこう言ったんです。昔、イエスっていうプログレのロックバンドがいて、そのイエスの『Fragile』ってアルバムが、メンバー1人1人の曲が入ってるのよ、それがすごく良いからそういうことをやりたいんだよね、って。で、ライブもあることがもう決まっていたから、ライブ・パフォーマンスを考えた時に、1人1人が曲を書いた方がそれぞれをフィーチャリングできるシーンが作れるんじゃないかなと思って。

――曲作りはどんな風に進めていったんですか?

スガ:やり取りはわりとLINEを使ってました。

武部:そう、グループLINEだね。とにかく、今回はそれが大活躍。5人で顔を突き合わせる時間がなかなか取れないから、カバー曲のアイディアとか、曲のデモとか、それもLINEに上げて、そこでみんなが反応して、っていうやり方をしてました。

屋敷:大学のサークルみたいでしたね(笑)。

スガ:俺も、歌詞の骨組みができたら、「こんな歌詞になりそうです」っていうのをすぐLINEに上げてったしね。

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