JUONが描く、ギターサウンドの未来形「EDMフェスとロックフェス両方に出られる存在になりたい」

 

「ロックとダンスミュージックの架け橋のような存在になれたら」

ーーそして今回、『CHANGE THE GAME』ソロ活動を本格的に始めたわけですが、エレクトロを導入しようと思ったのはどんなキッカケだったのでしょうか?

JUON:思い起こせば、エレクトロへの興味はピンク・フロイドを好きになった時からあったんですよね。あのバンドから全てが始まり、アヴィーチーにまで繋がっていると思います。それを自分のサウンドに取り入れようと思ったのは、やはりEDMに出会ったからです。去年の夏だったと思うのですが、ラジオを聴いてたらビルボードのトップ40を流していて。アヴィーチーとゼッドとスクリレックスがかかったんですよ。もう衝撃で。流れてきた瞬間に「次、自分がやる音楽はこれだ!」って思いました。自分が子供の頃からずっと苦楽を共にしてきた、まさに相棒であるエレキギターと、ダンスミュージックを合わせることによって、何か新しいサウンドを見い出せるんじゃないかって。そのヒントはEDMにあるって確信しました。しかも彼らのことをよくよく調べてみたら、みんな一度はバンドをやっていて、それからDJになっていくんですよね。そんなこと知らなかったからまたびっくりしました(笑)。「そこもリンクするのか!」って。実際、ゼッドとか聞くと「バンドっぽいなあ」ってすごく思います。

ーーソロになったことで、曲の作り方は変わりましたか?

JUON:まずは家でアコギから作るという点はバンド時代と変わっていないです。生音とエレクトロを混ぜるというのがコンセプトだったので。ただ、作っている時に頭の中でイメージしているのは、ダンスフロアでみんなが踊り明かしている風景なんですよ。そこはバンドの時とは違いますよね。「HAVE A GOOD TIME」もそうですが、それに、シンプルなフレーズをひたすらリフレインするっていうのは、ダンスミュージックならではの作り方だと思います。

ーーアコギで作る、という手段は変わらないけど、ダンスミュージックならではの手法は積極的に取り入れているわけですね。

JUON:シンセでフレーズを先に考えて、それをループさせながら歌メロを考えた曲もありました。僕、未だに60分のカセットテープを使っているんですよ。それをテレコで録音しっぱなしの状態にして、適当にギターを弾きまくる。それをあとから聴き直して、「この部分、OK」っていうところだけ抽出して、さらにまた60分テープをまわして録音して...っていうことを繰り返しながら、だんだん曲になっていくっていう。Pro Toolsでオーディオをコピペしたり、エディットしたりしているのと同じ感覚ですね。

ーーPro Toolsでもできることを、なぜわざわざカセットテープで?

JUON:カセットテープだと、自宅でもできるし公園でもできるんですよ。よく公園でアコギを弾きながら曲作りをしてるんですけど、そうするとピクニックしている家族とかが喜んでくれたりして(笑)。「あ、今日の曲はウケてたぞ」とか、「この曲は全然反応なかった」とか、そういうのもわかるじゃないですか。

ーー公園でプレゼンしてたんですね(笑)。

JUON:確かにそうですね(笑)。あと、曲のアイデアって突然沸いてきたりすることが多いんですよ。そんなときにコンピューターを起動させたり、Pro Toolsを立ち上げたりするのがもどかしくなるときがある。その間に忘れちゃうこともあるじゃないですか(笑)。パッと浮かんだらすぐパッと録れる機材って言ったら、やっぱりカセットテープとテレコっていうことになるんですよね。

ーー歌詞の内容も、バンド時代とはだいぶ違いますね。

JUON:そうですね。自分自身の寂しがり屋な部分だとか、バンドの時はカッコつけて見せてこなかったことを、そのまま言うことが出来るようになりました。

ーーパーソナルな部分をそのまま出せるのも、ソロの良さですよね。

JUON:そう思います。例えば「READY TO GO」は、これからソロでやっていくことへの決意を歌っています。みんなと一緒に音楽で踊り明かしたい、最高な空気を感じたい。「それまで待ってて!」っていう気持ちで作りましたね。

ーー逆に「BREAK MY SKY」は、これから新しい道へ進んでいくことへの不安や、焦燥感みたいなものを率直な気持ちで歌っているように感じました。

JUON:それもあるのかもしれないですが、いまの自分の状況というよりは、10代の頃に感じていた疎外感とか、辛い気持ちとかを歌っていて。その暗闇には答えはないんだ、このギターでその暗闇を切り裂き、明るい世界へ向かっていくんだっていう、そういう歌詞なんです。本当、楽しいことも辛いことも、ギターと一緒に乗り越えてきたので、そのギターについて歌った曲が欲しかった。

ーーJUONさんにとってギターは「武器」でもあり、コミュニケーションのためのツールでもあるわけですね。

JUON:そうですね。いろんな人たちと知り合えて、今、自分がここにいるのはギターがあったからだなって思います。

ーーJUONさんは、音楽で人になにをもたらしたいですか?

JUON:ストレスフリーになってほしいですね。僕の音楽によって、色んな悩み事もぶっ飛び、どうしようもないくらい笑顔になれるような、「明日も頑張ろう!」って思えるポジティブな空間が作れたらいいなって思っています。ただ、日頃悩みがあるからこそ、ライブでの開放感が際立つこともあると思うんですよ。大変な毎日があるからこそ、一瞬の輝きもあるのかなって。

ーーああ、なるほど。

JUON:それからこれは、ちょっとおこがましいかもしれないですけど、ロックを好きな人たちと、ダンスミュージックが好きな人たちの架け橋のような存在に自分がなれたら嬉しいですね。お互いのファンがリスペクトし合えるような、その窓口になれたらいいなって思います。そのためには僕自身が、EDMフェスとロックフェス、両方に出られる存在にならないとですね!(笑)

(取材・文=黒田隆憲/撮影=竹内洋平)

■リリース情報
『CHANGE THE GAME』
発売:2016年5月25日
価格:¥2,700(税抜)
〈収録曲〉
1. INTRO
2. CHANGE THE GAME
3. READY TO GO
4. COLORFUL EMOTIONS
5. INNOCENCE
6. BREAK MY SKY
7. HAVE A GOOD TIME
8. PROOF
9. NO ONE IS ALONE
10. OUTRO

http://juon-guitar.com/

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