ニューシングル『リアリ・スティック』インタビュー

MICHIが語る、アニソンシンガーとしての責任と海外進出への展望 「アニメは地球語」

 

「この歌詞は由希奈ちゃんの心情を描いたものなんだ」

ーー今回のシングル表題曲は過去2作とは異なる、シリアスな作風ですね。

MICHI:そうなんです。実はレコーディング前に『クロムクロ』のシナリオを先に読ませていただいて、アニメの世界観を把握してから臨んだんです。でも歌詞はそれよりも前にいただいていたんですけど、最初は「えっ、意味がわからない。『クロムクロ』ってどんなストーリーなんだろう? しかもなんでロボットアニメなのに、この曲は愛についてこんなにリアルに描かれているんだろう?」という印象で。それからシナリオを読んだので「ロボットアニメなのに、なんて面白いヒューマンストーリーなんだ!」と感動したんですよ。私、今まであまりロボットアニメを観てこなかったんですけど、まさかこういうストーリーだと思ってなかったのでビックリしました。さすがP.A.WORKSさん!

ーー(笑)。

MICHI:あと、この歌詞はヒロインの(白羽)由希奈ちゃんの心情を描いたものなんだってことを、シナリオを読んだことで理解できて。由希奈ちゃんは親の愛情不足の中で育ったからこそ、愛についてこんなにもリアルに描かれているんだと気づいたんです。

ーーなるほど。それを知ってから聴くと、また歌詞の印象が変わりそうです。実際にアニメも観ましたけど、現代を舞台にした物語なんですよね。

MICHI:そうです。2016年の物語なんですけど、ちょっと近未来感がありますよね。あと、すごく和の要素が強くて。それこそ私の衣装もなんですけど。

ーーアーティスト写真に登場する、和洋折衷の衣装のことですね。

MICHI:私、ずっと和風の衣装を着たいなと思ってたんですけど、まさかこのタイミングで着られるとは思ってなくて。古風な和の要素自体が特に好きで、京都にも憧れがあるし、勉強はそんなに好きではなかったんですけど(笑)、日本の歴史にはすごく興味があって。この衣装は『クロムクロ』の世界観に寄せて作られていて、赤と黒という色使いもまさにそうなんです。そこに私のロゴに登場する「∞(インフィニティ)」と羽の要素が散りばめられているし、付けている指輪の色はクロムクロの目の色だし、すごく凝っていて。デザインの時点から意見を出し合いながら作ったというのもあって、すごく気に入ってます。

「ネガティブな感情を表現するのはすごく難しかった」

ーー楽曲自体も4つ打ちを基調としたカッコいいサウンドに仕上がりましたね。

MICHI:前回の「Checkmate!?」とはガラリと変わって、シリアスな雰囲気になりましたね。毎回新曲を歌う際には「今回が一番難しい」と思いながらレコーディングしてきたんですけど、この「リアリ・スティック」ほど難しい曲はなかったと思います。「Cry for the Truth」も「Checkmate!?」も訴えかけるようにありのままの私を出して歌えばよかったところがあったんですけど、今回みたいにシリアスなものになると……私、普段はあまりそういう面を表に出さないんですよ。常にポジティブで笑顔なので、あまり人に見せたことがないネガティブな感情を表現するのはすごく難しかったです。特に今回は由希奈ちゃんの心情を演じながら、その演じている姿を見てもらう感じなのかなとも思っていて。そういう表現方法は今までしたことがなかったので本当に大変でしたし、だからこそすごく気に入ってます。

ーーストリングスが入った瞬間に世界が開けるというか、あのアレンジは本当に気持ちいいですよね。

MICHI:そうなんです。私もあのアレンジが大好きで。実はサビに入る前に私の声を使ったエフェクトが入っているんですけど、そこで何を言ってるのかも注目ポイントですね。それにしても本当に近未来感あふれる曲に仕上がっていて、これぞロボットアニメって感じがしますよね。

ーーその「これぞロボットアニメって感じ」というのが、J-POPにある身近さとはまた違うものなんでしょうね。

MICHI:そうですね。特にこの曲はバックトラックだけ聴くと、本当に非現実的で近未来感が強いというか。だけど歌詞はすごくリアルに描かれていて、そのギャップがまたいいんですよ。

ーー僕は最初にこの「リアリ・スティック」を聴いたときに、MICHIさんが言う近未来感と同時に、どこか懐かしさも感じて。90年代のアニソンはこういうサウンドや曲調が王道だったなと思ったし、同時にやっぱりアニソンにはこういう王道感を常に持っていてほしいなとも思ったんです。そういう意味では理想のアニソンじゃないかなと。

MICHI:あー、よかった! ありがとうございます! 言われて気づきましたけど、確かにどこか懐かしさもありますよね。新しいんだけど、どこか親しみやすさがあるのはそういうことなのかな。さすがElements Gardenさんですね。

関連記事