宗像明将のチャート一刀両断!
w-inds.の新作は“時代性”を超えたサウンドに ニュージャックスウィング志向でチャート健闘
参考:2016年5月2日~2016年5月8日のCDシングル週間ランキング(2016年5月16日付)(ORICON STYLE)
2016年5月16日付の週間CDシングルランキングは、集計期間がゴールデンウィーク中だったこともあるせいか、4月リリースの欅坂46やNMB48、さらには3月リリースの乃木坂46もベスト10内にいる、AKB48〜乃木坂46グループ色の強いチャートになりました。
今回ベスト10の全曲を聴いた中で新鮮だったのは、3位のw-inds.「Boom Word Up」でした。これほどブラックミュージックの要素の濃いダンス・ミュージックを歌っているのか、と。w-inds.の3人にダンサー4人を加えて踊り、最後には多数のダンサーが現れるMVもその印象を強いものにしています。
『Boom Word Up』は、今年でデビュー15周年となるw-inds.がリリースしたシングル。そして、ニュージャックスウィングを踏襲したサウンドなのです。ニュージャックスウィングといえば、テディー・ライリーなどが1980年代後半に世に送りだして流行したスタイルですが、当のw-inds.のメンバーは1984年〜1985年生まれ。1980年代や1990年代の音楽のリバイバルもあるとはいえ、メンバーが生まれた時代のサウンドを選ぶw-inds.のミュージシャンとしての志向性の面白さには興味をひかれました。
資料を読むと、橘慶太が「海外のトラックメイカーでもあまりニュージャックスウィングのトラックを作っている人がいなくて」と発言しているのですが、それでもニュージャックスウィングのトラックを探したとか。「Boom Word Up」の作曲にクレジットされているのは、Sam GrayとJoe Lawrence。Sam Grayは、2015年のEXILEのシングル「Ki・mi・ni・mu・chu」の作曲に名を連ねているひとりです。「Ki・mi・ni・mu・chu」は、1960年代後半のモータウンを連想させるような楽曲でした。
w-inds.の3人の意向を反映して生まれたという「Boom Word Up」は、ニュージャックスウィングならではのグルーヴを残しながら、サウンド・プロダクションは2016年の音に書き換えているトラックです。何も知らなくても楽しめますが、ニュージャックスウィングのリアルタイム体験世代なら思わずw-inds.に興味を持つ楽曲でしょう。2013年にw-inds.に「We'll Be Alright」を提供しているAKIRAがボーカル・プロデュースを担当し、ソリッドな勢いがありつつも色気のあるボーカルにしています。