AKB48ドキュメンタリー、監督に石原真氏起用の理由は? SKE版での実績から考える

 また、石原氏の特徴的なグループの描き方について、香月氏は下記のように解説した。

「石原氏は長年、48グループのメンバーやグループを隅々まで見ており、『アイドルの涙 DOCUMENTARY of SKE48』では、それが“卒業メンバーのその後を追う”という形で描かれました。同作ではグループの歴史をたどりながら、現役メンバーと、卒業してそれぞれの道を歩んだメンバーとの扱い方に差をつけず、ひとりひとりの人生を同じ重さで表現し、グループが持つ多様性をきめ細やかに映し出す手法が印象的でした。また石原氏は、東日本大震災被災地の定期訪問を行っている『誰かのために』プロジェクトにおいて隊長を務め、その記録をまとめた『AKB48、被災地へ行く』を上梓するなど、AKB48グループの被災地支援を主導し、またその活動の広報役を担う人物でもあるため、その描写にも注目したいです」

 最後に香月氏は、『DOCUMENTARY of AKB48』最新作の内容について、このように期待する。

「10周年の節目であり、高橋みなみの卒業も重なった今回のタイミングでは、その二つが重く扱われ、これまでの歩みを振り返るパートが多くなることは間違いないと思いますが、グループは今後も継続していくため、“その後のAKB”をどう描くかに注目したいです。“高橋イズム”の継承だけに傾斜するのではなく、SKE48ドキュメンタリーで個々の人生を細やかに見つめてきた石原氏らしい表現方法で、グループ内でさまざまな立場にいるひとりひとりが、自身の人生と対峙して次のステップに歩みを進めるさまが見られればと思います。いまだ、『同じ服を着た同じような人たちの集団』のように見られたり言及されることも多いAKB48について、個々の人生の現在地を映しながら、そうしたステレオタイプと違った価値観が提示されれば面白いと思います」

 石原氏が監督を務める『DOCUMENTARY of AKB48』最新作は、高橋栄樹監督の作品とは異なる面をどう見せていくのだろうか。同じく石原監督作『アイドルの涙 DOCUMENTARY of SKE48』が高評価を得ただけに、その内容に期待したい。

(文=編集部)

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