DEEP GIRL涼川ましろ&プティパ篠崎こころ&エリボンnatsuki、作詞家・zoppから“プロの作詞術”を学ぶ

 

zoppによる作詞講座レポート

ここから涼川・natsuki・篠崎の3名に対し、zoppによる歌詞の書き方講座がスタート。まずは3人の目指す歌詞が“アーティストタイプ”か“クリエイタータイプ”のどちらかをヒアリングし、その中間の歌詞を目指すべく授業を行なうことを明かした。

 

 続けてzoppは作詞に大事な要素として「テーマ」「メッセージ」「コンセプト」の3つを挙げ、今回添削した課題では、そのうちの「テーマ」がすでに規定されていたとコメント。そのうえで3人が書いた歌詞について、「どんな“メッセージ”を込めた?」と質問するが、全員がうまく回答できず、苦戦する一幕も。

 

 3つの要素についてじっくり講義したあとは、作詞の基本中の基本といえる“譜割り”についての話題へ。zoppは<どんぐりころころ どんぶりこ>が何音で構成されているか3人へ質問すると、全員が「13音」と回答。しかし正解は違った音数であり、3人が書いてきた歌詞も、実際に当てはめてみると、音数が足りなかったり余ったりすることが明かされた。その後、世界共通で作詞の際には「跳ねる音」に気を付けなければいけないこと、日本語詞はそのなかでも異端で、「ん」という“飲む言葉”に音を乗せる特色があることをレクチャー。3人は改めて、日本語詞の深さと難しさを知ることとなった。ほかにもzoppは、作詞におけるタイトルの重要性や、“料理の際に必ず「味見」するように、自分で歌いながら音を嵌めていくべき”という基礎的な要素、音の後ろが上がる場合と下がる場合に適切な言葉の選び方など、作詞におけるポイントを1時間にわたり徹底的に解説。その後、zoppと3人による質疑応答が行なわれた。

 

篠崎:私たちと同じ条件で、「どんぐりころころ」に別の歌詞を付けるならどうしますか?

zopp:おにぎりが逃げていく歌にして、“食べ物はいつかなくなるかもしれない”という裏テーマを持たせます。僕の作詞におけるルールのひとつに“7割表現”というものがあって、受け手に3割ほど想像する余地を残すようにしているんですよ。そうすると、歌を聴いた人はそれぞれの思い入れポイントを見つけてくれて、大事な曲になっていく。みなさんは今後作詞するにあたって、恋愛の曲も書いたりすると思います。ラブソングって、「好きです」をいかに別の言葉で伝えるかが大事なのですが、3人ならそれぞれどんなワードに言い換えますか?

涼川:「ドキドキ」ですね(笑)。

natsuki:私は「会いたい」かな。

篠崎:う~ん……「言えない」ですかね。

zopp:それぞれのキャラが出ていていいと思いますよ(笑)。これがいわゆる比喩表現で、作詞においてはこの表現技法をいかに使いこなすかが大事です。とはいえすぐにできるわけではないでしょうから、まずは自分の例えたい言葉に変わる何かを上手く探し当てる練習が必要かもしれません。僕も最初は一つのテーマに対して、多数派の人たちが想像するであろう内容を調べて、その人たちに共感できるような詞を書いていましたから。

natsuki:私も作詞の時に調べるのですが、経験に勝るものはないんじゃないか……って考えてしまうんです。

zopp:体験したことのほうが鮮明にイメージできるのではないか、ということですよね。でも、書き手自身が伝えたいことさえしっかりしていれば、実際に体験しているかどうかはあまり関係ないと思いますよ。僕は人から聞いた話でも十分体験だと思っていますし、自分の書いた歌詞の8割は未体験のものです。

涼川:歌詞を書くことってすごい大変だと思うんですけど、今までに「もう歌詞は書きたくない」と感じたことはありますか?

zopp:僕は結構飽き性な人間なので、その都度、嫌になったりしますよ(笑)。だって、23歳から作詞をはじめて、25歳のときに「青春アミーゴ」で1位を獲ってしまったから、その先の目標が見えなくなったわけですから。書けなくなってしまうことはないのですが、「もう作詞自体をやめたい」と思うんですよね。たまに「ネタがない」という人もいますが、そういう感覚にはなりません。その時は自分じゃないものを書けばいいわけで、しかもその人に直接手渡すわけじゃないから、大雑把な印象から想像したことを綴っても大丈夫ですし、そのほうが的が広がって意外とウケたりするんですよ。