FEMM、奇天烈なクリエイティビティで世界を席巻? サウンドとパフォーマンスから魅力を分析

 リアーナが自主レーベルから無料DLアルバム「ANTI」(反抗、の意)を突如発表し、世界中の話題をかっさらったことはご存知だろうか。また、今年のグラミー賞にて3冠に輝き、同時に「年間最優秀アルバム賞」を2度にわたって受賞した史上初の女性アーティストにもなったテイラー・スウィフトが「世の若い女性たちに伝えたい。あなたの成功を邪魔しようとする人や、その業績や評判を横取りしようとする人が現れるかも。でも、そんな人たちに惑わされず自分のコトに集中していれば、いつかどこかで周りを見渡したときに気づくはず」と、世界中の女の子たちを勇気づける素晴らしいスピーチを行なったことが記憶に残っている方も少なくないかもしれない。そう、今、世界中の女性アーティストのクリエイティヴィティは爆発しているのだ。そんな中、ここ日本ーいや、どこか宇宙の彼方から、と言った方が適切か?ーからキテレツなインパクトと共にデビューしたガールズ・ユニットが、このFEMMだ。

 正式名称を「FAR EAST MENTION MANNEQUINS」とし、RiRiとLuLaという二体のマネキンからなるユニット、FEMM。まさに”動くマネキン”といった風情そのものの彼女たちのルックスやダンス・パフォーマンスはMVなどを見れば一目瞭然。「PoW!」のMVで見られる、ラバー製のメイド服に身を包みながらドーリーかつ機械的な振り付けをこなすFEMMの姿はなかなかにシュールだ。しかも、彼女らの歌詞はほぼ全て英語で構成されており、事実、FEMMの魅力にいち早く飛びついたのはUSの人気ブロガー、Perez Hiltonで、FEMMの初期代表作でもある「Fxxk Boyz Get Money」を「イギー・アゼリアっぽい!」と紹介している(ちなみに当時はイギーのシングル「Fancy」が特大ヒットをキメた時期でもある)。また、VOGUE誌のコンサルタントなどを務めるファッションディレクターのAnna Dello Russoも彼女らを賞賛し、ラグジュアリー・ブランド「Dolce & Gabbana」の東京カプセルコレクションにFEMMをフィーチャーし、話題になった。ちなみに、FEMMのトレードマークとも言われるラバー製の特殊な衣装。ラテックスとも呼ばれるこの素材はファッション界からも大きな注目を集めており、最近ではアリアナ・グランデがMVで着用していたり、マイリー・サイラスやキム・カーダシアンも好んで着用していたりと何かと話題のアイテムだ。

 FEMMの強みはルックスだけではない。そのサウンドもまた、世界基準なのだ。今回、メジャーデビュー作品となるEP『PoW!/L.C.S.+Femm-Isation』に収録される「L.C.S」のプロデュースを手がけるのは、ドイツ発のエレクトロ・クリエイターであり、新世代エレクトロの寵児として世界中のフロアを揺らしてきたボーイズ・ノイズ(!)。同EPに日本語カヴァーを収録した「Astroboy feat. Honey-B & W-Trouble」は、レディー・ガガ「Americano」やオウル・シティ&カーリー・レイ・ジェプセン「Good Time」などを手がけてきたヒットメイカー、ブライアン・リーの筆によるもの。他、インディー時代に発売した『Femm-Isation』に参加しているプロデューサー陣にもまた、ケイティ・ペリーやリアーナ、マイリー・サイラスにマドンナまでを手掛けた名だたるメンツが並んでいる。2014年、デビュー前にもかかわらず超巨大イベント「ULTRA JAPAN」に出演したことや、世界中のエッジーなアーティストを紹介するMTV Iggyにて「Artist Of The Week」に選ばれたことなどは、FEMMの高い音楽性を裏付ける事実だろう。

 さて、そんなFEMMがメジャー・デビューを果たした。壮大なダンス・サウンドにエキセントリックなパフォーマンス、そして、ガールズ・パワー炸裂のリリックなど、そのクリエイティヴィティはどれを取っても規格外。そんな彼女たちが、個性を活かしながらどのようにこの日本のシーンを侵食していくのか、世界を虜にする「FEMMムーヴメント」に身を委ねながら楽しみたいと思う。

(文=渡辺志保)

■リリース情報
『PoW!/L.C.S.+Femm-Isation』
発売:2016年2月24日
【CDアルバム】 EP+AL「Femm-Isation」 ¥3,132(税込)
【CDアルバム】 EP+無音パッケージ ¥1,620(税込)

■Youtube
【PoW!】https://www.youtube.com/watch?v=fz3jLeDvpu4
【L.C.S.】https://www.youtube.com/watch?v=mbIJlQjv3pU

■オフィシャルサイト
https://femms.jp/

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