『SHE’S ONEMAN TOUR FINAL「She’ll be fine -chapter.0」』レポート
SHE'S、可能性に満ちたスーパーノヴァの登場 メジャー発表ライブでシーンの潮目の変化を見た
終盤には井上が結成から5年、「続けてきてよかった。続けてきたからこそ後悔することもあるけど、諦めてたらここにはいてなかった、そういう歌」と、淡々とした地メロからそのままエモーショナルに高音部に繋がっていく「All My Faults」を披露。単に静かなスローチューンとか、バラードとカテゴライズできない、バンド全員が歌の心臓部分である<後悔も抱えたまま 向き合って歩いて行く>姿勢を共有していなければ、奏でられないグルーヴだと感じた。そしてピアノを鳴らしながら井上がこれまでの歩みを振り返り「SHE'Sはゆっくりゆっくりやってきて、これからも変わらんのやけど、ひとつの節目として6月8日、Universal Music、Virgin Recordsからメジャー・デビューします」と、抑えきれない涙とともに発表。その後、演奏したのが「遠くまで」だったのだが、「みんなを連れてもっと大きい景色を見せます」と言い切ったあとの選曲として、クサいとか出来過ぎとか突っ込む気持ちが全く起こらなかったのは、曲の強度のせいか。本編ラストはアルバム同様「Curtain Call」という、これまた井上のメロが、服部のギターソロがまるでノエル・ギャラガーか? ってなエバーラスティングな逸品。琴線に触れまくるメロディを生む井上をはじめ、「いいものはいい」と言い切れるこのバンドの強さに、遠巻きに見ていた男性客も関係者も自然と拍手をしていたに違いない。
アンコールでは、いち早くメジャーデビュー・シングルのタイトルチューンである「Morning Glow」を披露。夜明けを“Dawn”と表現するバンドもいれば、SHE'Sのように表現するバンドもいる。しかし、意外にも井上は否応なしに翌日が始まる夜明けが苦手だった、と楽曲のセルフライナーには記されていた。
若いリスナーには新鮮に、そして30代半ば以上の洋楽を熱心に聴いていたリスナーにとってはしばらく忘れていた感情が起ち上がるような可能性に満ちたスーパーノヴァの登場である。
(取材・文=石角友香/撮影=西槇太一)
■セットリスト
3月14日(月)渋谷CLUB QUATTRO
『SHE'S ONEMAN TOUR FINAL「She'll be fine -chapter.0」』
1. Un-scienece
2. Change
3. Just Find What You'd Carry Out
4. 彼方
5. L&F
6. Save Me
7. 2人
8. All My Faults
9. Evergreen
10. Back To Kid
11. Night Owl
12. 信じた光
13. ワンシーン
14. 遠くまで
15. Curtain Call
EN-1.Morning Glow(新曲)
EN-2.Voice
■リリース情報
『Morning Glow』
発売日:6月8日(水)
その他詳細は追ってTwitterやオフィシャルHPなどで発表
■ライブ情報
『One-Two-Three, For!! TOUR 2016』
LAMP IN TERREN/SHE'S/HOWL BE QUIET
4月6日(水)【福岡】天神Queblick
4月7日(木)【広島】CAVE-BE
4月9日(土)【大阪】大阪梅田Shangri-La
4月10日(日)【愛知】名古屋ell.FITS ALL
4月15日(金)【宮城】仙台enn 2nd
4月17日(日)【東京】代官山UNIT