2ndミニアルバム『フシギな夢の中』インタビュー

丸本莉子が目指す、リスナーとの理想的な関係「あいだにある壁はできる限りなくしたい」

 

「『寄り添うこと』がひとつのテーマになっている」

ーーそうやって、いろんな人とやりとりするなかで、丸本さんが「ここだけは譲れない」っていうポイントは何でしょう?

丸本:やっぱり、その曲で伝えたい“思い”ですよね。そこを変えてしまうと、私ではなくなってしまうので。例えば、この曲の歌詞に〈心の中風が吹いても/その隙間を埋めるように寄り添い合えるから〉というフレーズがあるんですけど、そこは最初、伝えたい思いと言葉数が全然合わなくて。実はこの箇所が、いちばん苦労したところだったりするんですよね。

ーーその「伝えたい思い」というのは?

丸本:何でその人じゃないといけないのか、何でその人と結婚するのかっていうときに、「ひとりじゃできないこともふたりだったらできる」そういうことをこの曲では一番言いたかったんですよね。その“出会い”をテーマにストーリーを作っていくなかで、ふたりじゃなければできないことを書きたかったんですけど、レコーディング直前まで、そのフレーズが思い浮かばなくて。それまでは違う言葉を入れていたんですけど、「やっぱり、これじゃないんだよな」って、ずっと思っていたので、「ちょっと時間をもらっていいですか?」って無理を言って、レコーディング直前に書き直して、最終的にこの歌詞になったんですよね。

ーーそうやって熟考した結果出てきたフレーズが〈その隙間を埋めるように寄り添い合えるから〉だったというのは、ちょっと面白いなと思って……「寄り添う」っていうのは、この曲に限らず、丸本さんの歌が一貫して持っているテーマのような気がします。以前、「リスナーに寄り添うような曲を歌いたい」と言っていましたよね?

丸本:ああ……確かにそうかもしれないですね。これは男女の歌ですけど、2nd配信シングルの「やさしいうた」は家族の歌で、今回のミニアルバムに入っている「ただそばで」という歌は、高校生の頃に作った曲をリアレンジしたものなんですけど、それは友だちに向けて書いた曲で……確かに、どの曲も「寄り添うこと」っていうのが、ひとつテーマになっていますね。

ーーいずれにせよ、寄り添うような関係性というのが、丸本さんにとって理想の関係性なのかもしれないですよね。

丸本:そうですね。単純に「歌う/聴く」っていう関係ではなく、お互いに寄り添うような関係――本当の意味で寄り添うのは難しいかもしれないですけど、そのあいだにある壁みたいなものは、できる限りなくしていきたいですよね。

 

関連記事