V6 岡田准一はなぜ見る者の感情を揺さぶる? 演技からお笑いまでこなす“表現者”の魅力

 「映像化は不可能」と言われ続けてきた夢枕獏のベストセラー『神々の山嶺』原作の、映画『エヴェレスト 神々の山嶺』。公開に先駆けて、主演を務めたV6の岡田准一のメディア露出が増えている。各番組で語られる撮影秘話は、想像を絶する苛酷さ。努力家揃いのジャニーズ事務所だが、岡田の群を抜いたストイックさに驚かされるばかりだ。

(C)タナカケンイチ

 3月6日にオンエアされた『行列のできる法律相談所』(日本テレビ系)では、27歳から始めたという武術の練習シーンを公開。とことん突き詰める性格の岡田は、すでにインストラクターの資格を取得済。その腕前は、スタジオで「芸能界でいちばん強いのでは?」といじられたほど。

 それだけ体力面で自信のあった岡田でも苦労したという今作の撮影。実際に、高度5200mまで登り、酸素は通常の半分、気温はマイナス20℃という世界で40kgの重りを入れたリュックを背負っての演技だったそう。感情が高ぶるシーンは、酸欠を起こすような環境。終盤のシーンではカットがかかった瞬間に、 カメラマンと共に倒れこんだというエピソードまで飛び出し、まるでドキュメンタリー映画のような白熱の演技だ。

 そんな岡田に対して「過酷な役、昭和を背負った役といえば岡田くんというイメージ」と東野幸治がコメント。「そういうオファーしか来ない」と笑いながら、軽い話もやってみたいが軍人や侍の役が多くなっていると笑った。

 岡田の演技にかける思いが強くなったのは、ある大物俳優との出会いだったと、2月22日に放送されたスペシャル番組『成功の遺伝史』(日本テレビ系)で語られている。14歳でオーディションに参加し、それからわずか7カ月後にV6のメンバーに大抜擢された岡田。「下積みもなく何もできなかった」と当時を振り返り、劣等感がずっとあったとのこと。

 転機となったのは18歳のとき、ドラマ『ディア・フレンド』(TBS系)に出演したこと だった。ある俳優に本番でいきなり台本になかった平手打ちをされたのだという。そして収録が終わると、にやりと笑って「楽しかっただろう、感情は動いたか?」と言い放ったのだそうだ。それが、緒形拳だった。

 その緒形の行動を振り返り、怒る芝居はしていても感情が動いてなかったと感じた岡田は、演じるとは何かを考えるようになったという。アイドルとして多忙な日々を過ごしながらも1日2本は映画を見て、自分でカット割りを書き出すなど地道な努力を重ねていったのだと明かした。

 そして、岡田は第38回日本アカデミー賞で、映画『永遠の0』で最優秀主演男優賞、映画『蜩ノ記』で最優秀助演男優賞と史上初のダブル受賞を成し遂げるまで成長。そのときの受賞スピーチでも、この緒形とのエピソードを目をうるませながら語ったのだ。

 今年の日本アカデミー賞は、後輩である嵐の二宮和也が映画『母と暮せば』で最優秀主演男優賞を受賞した。スピーチには「先輩である岡田准一くんが、この賞をいただきまして。すごくうれしくて、(お酒を)飲みながら見させていただきました。だんだん飲んでいくうちに悔しくて、俺も欲しいなって思ってきたときに、会ったのかな? 岡田くんと。そのときに“次はお前だから”と言っていただけました」と、岡田から刺激を受けたという内容が披露された。さらに、新人賞でも同じジャニーズ事務所のHey! Say! JUMPの山田涼介が映画『暗殺教室』で受賞。「(岡田を)目指します」と実力派俳優の道を駆け上がることを宣言した。

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