『Centre Of Everywhere』リリース&来日記念インタビュー
スウェディッシュポップの新星=JTRは、世界の音楽市場をどう攻める?「英ウェンブリー・アリーナで演奏したい」
「ジャスティン・ビーバーの新作にコールドプレイの要素を」(Tom)
――8月に初来日をし、今回が2度目の日本ですが、やはり一度知っているぶん、印象は全然違いましたか。
John:前回は緊張していた部分もあったけど、今回はアットホームな気がして、自分たちも日本にもちょっと慣れてきたかな。何をすればみんなが喜んでくれるのか、どうすれば盛り上がってくれるのか、という風に、日本のファンのことも少し分かってきたような気がする。距離感が近くなったというか。
Robin:前回はやはり不安もありました。でも、今回は慣れもあったり、東京や大阪だけではなく、今までには行ったこともなかった札幌や福岡にも行くことができたので、ようやく日本全体のイメージをつかめたような感覚。
Tom:僕も、JohnやRobinと同じ。それ以外だと、前回は食事の際も「少し変わった食べ物だな」と思うことが多かったのですが、今回は日本料理の味を自分が分かるようになってきて、とても美味しいと感じました。一番印象に残っているのは……ジンギスカンかな。
――ライブ内では、ファンとの質疑応答をしていましたよね。ファンも英語やスウェーデン語を覚えてきていて、会話を楽しんでいる姿が印象的でした。
Tom:Q&Aは普段からやっていることで、ファンには「僕たちに聞きたいことがあれば、何でも聞いていいよ」という気持ちを伝えたいし、ファンとの関係をもっとオープンなものにしたい。時間の関係で質問に全部答えることはできないけど、僕らはどんなことでも聞いてほしいというスタンスだから。
――ライブのパフォーマンスも、前回よりも伸び伸びやっていたという印象ですが、やはり11月にリリースしたミニアルバム『Centre Of Everywhere』の楽曲群があり、より幅広いセットリストを披露することができたのも大きいですか。
John:今まで自分たちが作った曲を、ようやく全部ファンに聴いてもらえることができたので、“隠さなくて良くなった”というか(笑)。前回演奏できなかった曲も、やっと聴いてもらうことができたのでスッキリした。
――渋谷WWWで行なったライブでは、槇原敬之さんの「どんなときも」をカバーしていましたよね。
3人:「ドンナトキモ~、ドンナトキモ~、ボクガ、ボクラシクアル~タメニ~♪」。
Robin:とても素敵な曲だよね。
――なぜこの曲を選んだのでしょうか。
John:(TomとRobinが歌い続けるなか)YouTubeで聴いた瞬間、すぐ大好きになったんだ。あと、カバーをしていた当時に自分たちがやっていた音楽のスタイルと似ていたことも大きいかも。メロディが一瞬で頭に入ってきて抜けなくなったから(笑)。
Tom:J-POPのカバーをすることで、今まで考えもつかなかったメロディの作り方やコード進行などを知ることができ、より自分たちの音楽がオープンになったんだ。
――スウェーデンのポップスと、J-POPの具体的な違いとは?
John:簡単なところだと、メロディとコードが全然違っていて。スウェーデンは3コードや4コードが基本的なのですが、J-POPは他の国のポップスと比べても、何でもありな印象が強いです。それが一番シンプルかつ大きな違いかな。
Tom:あと、花の歌詞が多い。とくに「桜」をよく見かけます。
――スウェーデンではなかなか無いから珍しいということですね。ちなみにスウェーデンのポップスでよく使われている歌詞はどのようなものでしょうか。
John:別れの歌、とくに悲しい別れを歌うものが多いかも。スウェーデン人の気質、というわけではなさそうなんだけど(笑)。
――『Centre Of Everywhere』でそれぞれがお気に入りの一曲を教えてください。
Tom:タイトルトラックの「Centre Of Everywhere」ですね。これから自分たちがやっていきたい、新しいサウンドのイメージにいちばん近いので。
John:以前は「Until Then」だったけど、ライブをするうちに「Centre Of Everywhere」が一番のお気に入りになりました。歌っていてとても楽しいので。
Robin:僕は「Until Then」。歌詞の内容にとても深い意味があって、気持ちを込めて歌えるので気に入っています。
――Tomさんの口から「自分たちがやっていきたい新しいサウンド」という言葉がありましたが、それは具体的に言うとどういうサウンドなのでしょうか。
Tom:以前まではティーンエイジャー向けのサウンドが多かったし、自分たちもそこへ届けることを意識していたけど、いまはより幅広い層に僕らの音楽が届いて欲しいと思っていて。だからといって意識的に大人っぽくしようというわけではなく、その時々の感性に素直に従おうとしている。ジャスティン・ビーバーの新作『パーパス』はその理想ともいえるのですが、僕らはバンド・ユニットとして、そこにコールドプレイのような要素もプラスしていきたい。