グッドモーニングアメリカが初武道館公演で見せた、「感謝」と「挑戦」のパフォーマンス

 グッドモーニングアメリカが11月27日、日本武道館でワンマンライブ『挑戦 㐧七夜』を開催した。

 同バンドは、2001年結成。改名、ライブ活動休止、メンバーチェンジなどを経験しながら、2014年にメジャーデビューを果たした。自主企画ライブの開催、大型フェスへの出演などを経て、着実にライブシーンでの人気を築き、日本武道館での念願のワンマンライブ開催となった。

PHOTO BY 佐藤広理

 今回のライブは、全編に渡り「挑戦」と「感謝」に溢れたサプライズ満載の内容。そして、見る者を楽しませること、感動させることに全力を注ぐバンドである、と改めて気づかされたライブでもあった。

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 まず、場内アナウンスから流れてきたのは、バンドが主題歌などを担当した『ドラゴンボールシリーズ』孫悟空役の野沢雅子と、たなしん(Ba/Cho)の声による共演だ。その後、ピンクのレオタードに身を包み、手に新体操のリボンを持ったたなしんが1階客席から登場。体操選手・池谷幸雄指導のもと練習に励んだというバク転をステージ上で見事披露した。初の成功だったという勝負強さに、たなしん自身も「今日はなんかミラクルなことが起こる気がする」とコメント。ライブ恒例のたなしんによる「前説」も、武道館公演にふさわしいサプライズの連続だ。

PHOTO BY 佐藤広理

 いざライブがスタートすると、さきほどまでの笑いに包まれた場内とは打って変わって、バンドのグルーヴが響き渡る演奏が始まった。勢いがあるというよりは、演奏、振る舞い、すべてがどっしり構えていて、緊張感のあるパフォーマンスだ。「拝啓、ツラツストラ」「キャッチアンドリリース」「光となって」と、グッドモーニングアメリカの楽曲の魅力のひとつでもあるシンガロングが続く。

渡邊 幸一(Gt/Cho) PHOTO BY 佐藤広理

 渡邊幸一(Gt /Cho)は、「ずっと夢に描いてきた日本武道館。この日を迎えられて感謝しています」と、ファン、仲間のバンドマン、同級生、家族への感謝の思いを述べた。さまざまな苦難を乗り越え、バンドを続けてきたからこそ迎えられた今回のライブにかける思い、それまでの道のりで出会ったすべての人々に対する感謝の思いの強さが一言一言から伝わってくる。

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 そんな思いは、メジャーデビュー後発表された「コピペ」のような現代社会に対するシニカルな楽曲から、インディーズ時代の「言葉にならない」のようなストレートに感情を表現した楽曲まで、バンド活動を彩ってきた新旧さまざまな楽曲を織り込んだセットリストにも反映されている。

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 昔の仲間たちに向けた楽曲「コールアップ」からの流れでは、これまでの活動を振り返るような選曲がなされていた。「空ばかり見ていた」では、観客が一斉に拳を上げ、大声で熱唱。「そして今宵は語り合おう」では、たなしんからバンドメンバー3名へのサプライズが。ステージ上のたなしんの合図で観客が携帯電話のライトを一斉につけ、場内が満点の星空のように輝く。これは、2011年に行われた初ワンマンライブでアンコール時にファンが行ったサプライズの再現だという。これには、金廣真悟(Vo/Gt)はじめメンバー一同、グっときた様子。まさに、ファンやメンバーに対するたなしんからの感謝の思いが形となった演出だったのではないだろうか。

PHOTO BY 佐藤広理

 そんな感動的な流れの後に、今度はメンバーからたなしんへのサプライズも。「グドモたなしん的ロードトゥ武道館」という事前企画で、すでに披露された野沢雅子との共演、バク転と共にたなしんが本公演で実現したいことの一つとして掲げていたプロレスラー大仁田厚との共演が、このタイミングで突如実現されることとなった。大仁田とたなしんが「ファイヤー!!」と叫ぶと、ステージ前方から火柱が。それを合図にスタートした「アブラカタブラ」からメッセージ性の強い歌詞とビートの楽曲が続く。

PHOTO BY 佐藤広理

 ボーカル金廣から「日本武道館で歌うために8年前、4人でつくった曲」と紹介された「友よ」では、<がんばれ>のフレーズが会場内にこだました。「誰にも聴いてもらえなかった曲をみんなに歌ってもらえてうれしいです」という言葉に続けて、ギターの渡邊は、何度も“グドモらしさ”を考え、完成したという3枚目のオリジナルアルバム『グッドモーニングアメリカ』制作についても語った。「壁をぶち破って前に進んでいこう」との思いから生まれた収録曲「ディスポップサバイバー」では、MV同様、相撲ダンサーが登場し、会場を大いに盛り上げた。

PHOTO BY 濱谷幸江

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