『紅白歌合戦』は日本カルチャーの見取り図に? BUMP、ゲス乙女、μ’s、星野源、乃木坂46ら初出場組中心に検証

 また、同番組における中年層を狙った“復帰枠”についてはこう述べる。

「昨年の出演陣の中では薬師丸ひろ子と中森明菜が復帰枠にあたりますが、今回は今井美樹とX JAPAN、レベッカがラインナップされています。これは『あまちゃん』から始まった80年代アイドルのリバイバルがひと段落し、80年代後半から90年代初頭のバンドやシンガーソングライターの復活が脚光を浴びている時代の流れを象徴しているといえるでしょう。また、数年ぶりの復帰となる小林幸子は、ニコニコ動画を通じてこれまでと違うファン層を開拓した結果、かつての演歌カテゴリではなくネットに親和性の高い特別企画として出演することが決まっており、こちらの異端さもまた面白いところですね」

 最後に、アイドル・J-POP枠の変動と、番組の進化について同氏はこう締めた。

「ももいろクローバーZときゃりーぱみゅぱみゅは、ともに2010年代の日本のポップカルチャーを牽引してきた存在だったので、両者が出演しなくなったことには驚きました。一方、乃木坂46が初出場を果たしたこともあり、女性アイドルに関しては方向性の変動が見られる印象です。いきものがかりやゆずなどJ-POPシーンの人気者は盤石の印象で、初出演のSuperflyは実力ある歌声を、大原櫻子はフレッシュな存在感を見せてくれると思います。総じて言えるのは、SNSの普及以降のここ数年、紅白歌合戦はそのあり方をかなり変えてきている、ということ。歌だけでなく企画や演出で話題を作り、若者層から中高年層まで幅広く引き付ける番組作りをしている。各世代のポピュラー音楽の需要のされ方を的確に分類したうえで、それぞれのカテゴリにまんべんなく話題性を提供する番組へと進化していることが伺えますね」

 大型音楽番組が各局で立ち上がるなか、『紅白歌合戦』は日本カルチャーの見取り図としてその色を濃く打ち出すことができるのか。当日の放送を心待ちにしたい。

(文=編集部)

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