モーニング娘。'15・鞘師里保はなぜ卒業? グループにおける軌跡と今後への期待

 また、このタイミングで卒業を発表したことについて、同氏はこう分析した。

「今回の卒業発表と似たタイミングとして思い出されるのは、7期メンバーの久住小春さんの卒業の時のケースですね。彼女は2009年秋ツアーの初日で卒業を発表し、同ツアーの12月の最終公演がそのままラストライブだったため、ずいぶん急な話でした。今回は他グループも出演する大晦日のハロプロカウントダウンライブが最後の場となるため、どういう心境でその日を迎えればいいのかわからない人も多そうです。今回も急な話ではありますが、今から振り返って考えてみると、例えば7月18日から21日の4日間に鞘師さんが体調不良で公演を欠席したことがあり、後日の『MBSヤングタウン土曜日』(毎日放送)で、その理由を『疲れ果ててしまって、立ち上がりたいけど立ち上がれない』と話してましたが、そのような予兆は他にもあったのかもしれません」

 ピロスエ氏は続けて、鞘師が今後「海外留学」を見据えていることについて、OGメンバーの活動や彼女の心境から、その理由を探った。

「海外留学を志したきっかけとして、帰国子女の野中美希さんが12期メンバーとして加入したり、グループとしても2014年にニューヨーク公演を行ったり、『J-MELO』(NHKワールド)の主題歌として起用されている新曲『One and Only』が全編英語詞であること、同じアクターズスクールに在籍していたSU-METAL(中元すず香)の所属するBABYMETALが海外進出をどんどん進めていくなど、英語や海外との距離がどんどん近くなったことも、鞘師さんに決断をさせる一因だったのではないでしょうか。また、過去には小川麻琴さんと光井愛佳さんが、卒業後海外留学へ行っており、帰国後に芸能活動を再開させました。鞘師さんはまだ17歳で、数年留学して帰国してもまだ20歳前後なため、もう一度ソロ、もしくはグループで活動を再開させてもおかしくないため、彼女の今後が楽しみでもあります」

 最後に同氏は、ハロー!プロジェクト全体としての動きを踏まえ、彼女とグループの今後についてこう語った。

「2014年の道重卒業以降、ハロプロ全体として大きな動きが続いているのですが、今回の一件は、そうした変革期だった1年の最後にまた起こった大変な事案といえます。近年ファンになった方は、ハロプロそのものの存続を心配するかもしれませんが、十数年ファンをやっている人間からすると、その大きな地殻変動を含めてハロプロだと思っているため、心配しなくていい、と言い切るのもまた違うのですが、すべてを引っくるめて受け止めるしかないのかな、と思っています。また、17歳でこの決断をした鞘師さんには、個人の強さ、そうせざるを得ない周囲の状況、ひいてはアイドルとしての強さや厳しさ、尊さみたいなものを感じます。誤解を恐れずに言うと、そこにはロマンがあると思います」

 年末に訪れた、グループやファンにとっても衝撃の一大ニュース。この出来事がまた一つグループを強くするのかどうか、引き続き動向を見守りたい。

(文=向原康太)

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