「みなさんと1対1だと思っている」星野源が“ひとり武道館”ライブで見せたものは?

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星野源とかしゆか

 星野が扮する「ニセ明」の映像が流れた後の第二部では、ステージ上に星野源の一人暮らしの部屋をイメージしたセットが組まれ、特にメロウな楽曲を聴かせる弾き語りコーナーに。朴訥な言葉を選びながらも、エロティックな詩情を漂わせる名曲「くだらないの中に」を披露すると、観客たちは気持ち良さそうに身体を揺らし、その柔らかなメロディを聴き入っていた。その後、「誰か女の子遊びにきてくれないかな」という星野の期待に応えるように、Perfumeのかしゆかこと樫野有香が、ハーブティーとアイスクリームを手みやげに持ってトークゲストとして登場。サプライズに観客は大喜び。8畳の味のある空間に「なんかステージにいることを忘れる」というかしゆかは、マイペースにお茶を入れ始める。一方で星野は、先ほど熟読していたエロ本を慌ててステージ外に隠すなど、明らかに動揺した様子。しかし、照れくさそうにしながらも、まるで恋人に聴かせるように「老夫婦」を歌い上げると、かしゆかはアイスクリームを食べながら、観客たちとともに嬉しそうにそれを聴いていた。

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星野源

 再び「ニセ明」の映像を挟んだ後は、シックなグリーンのスーツ姿で登場した星野。手にはラジカセを持ち、今度はビートに合わせて弾き語りをするという趣向だ。観客たちに「おじさんとおばさんのカップルのダンス」を要求した星野は、そのままメロウなビートに合わせて「海を掬う」を演奏。まるでディスコのチークタイムのような、どこか懐かしい空間を演出した。続く「いち に さん」や「桜の森」では、自らドラムを叩いてループさせ、さらにリズミカルでダンサブルなアレンジを施していく。本編最後の曲となった「夢の外へ」では、13,000人による大合唱も巻き起こった。

 アンコールでは、たびたび映像に出てきた「ニセ明」の姿で登場した星野。布施明の「君は薔薇より美しい」を華々しく歌い上げ、会場を大いに盛り上げる。そしてステージ上で“生着替え”を行なった後は、フィナーレとなる「SUN」を熱唱。全23曲、約3時間にわたるステージを、たったひとりで演奏しきった『ひとりエッジ』は、大盛り上がりのうちに幕を閉じた。

 星野は、少年時代にエリック・クラプトンのライブを観て以来、「いつか武道館で、ひとりで遊んでみたい」との夢を抱き続けてきたとのことだが、その夢はおそらく、彼の想像以上に素晴らしい形で実を結んだのではないだろうか。エンターテイメント性と高い音楽性を同時に感じさせるステージに、ミュージシャン・星野源の実力を観た。

(文=松田広宣/写真=岸田哲平)

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星野源

■セットリスト
-BUDOKAN-
1.バイト
2.ギャグ
3.化物
4.ワークソング
5.地獄でなぜ悪い
6.透明少女
7.Snow Men
8.フィルム
9.Crazy Crazy
-ROOM-
10.ばらばら
11.くせのうた
12.営業
13.くだらないの中に
14.老夫婦
15.Night Troop
16.レコードノイズ
- RHYTHM-
17.マッドメン
18.海を掬う
19.いち に さん
20.桜の森
21.夢の外へ
EN1.君は薔薇より美しい
EN2.SUN

■関連リンク
星野源オフィシャルサイト

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