新作『テクニカルブレイクス・ダウナー』インタビュー

5年ぶりに復活! ジェッジジョンソン藤戸が語る、これからの音楽「当たり前が変わった中でどうするか」

 

 ジェッジジョンソンがニューアルバム『テクニカルブレイクス・ダウナー』をリリースした。2010年5月のリリース後、中心人物である藤戸じゅにあ(Vo、Gu、Programing、Conmposer、Mixd)の病気療養のために活動を休止していたジェッジ。昨年から、元school food punishmentの蓮尾理之(key)、SCANDALなど多彩なアーティストのプロデューサー・作曲家として活躍する西川響(Bassline)を正式メンバーに迎え、ライブ活動を再開。そして今作のリリースと相成った。“エレクトロロック”という言葉さえ得体の知れなかった2000年前後から始動したジェッジ。休止していた5年間で変化した音楽シーン。伸び伸びと活躍できる土壌が整った今、さらなる飛躍を目指して帰還した藤戸が、時代を読み、これまでとこれからを語ったインタビューを掲載する。

「心は折れていなかった。必ず戻ってくるって信じていた」

ーー約5年振りのリリースなので、まずは、「おかえりなさい」ですかね。

藤戸じゅにあ(以下、藤戸):ありがとうございます。

ーーリリースされて5日後の取材ですが、既に反響も感じてらっしゃるんじゃないですか?

藤戸:そうですね。正直な話、ここまで売れるとは思っていませんでした。この5年間でCDや音楽状況が変わったと思うんです。それを俯瞰的に見ていて、この世界に戻ってきた時に、他のレーベルの部長さんとかと飲んだんですけど(笑)、まず言われたのが、止めた方がいいんじゃない?って。

ーー率直な意見ですね!

藤戸:はい。ピンとキリが分かれてる辛い状況だって脅されて(笑)。でも、ファンの方が待って下さっていたのか、ソーシャルの力も大きいと思うんですけど、実際にリリースをして、フラゲ日から都内のショップを蓮尾(理之/key)くんと廻ったら、どこも売り切れだったんです。また、リリース当日に、MUSEを予約しようと思ってiTunesストアを開いたら、自分たちが一位だったっていう。

ーー偶然知るって、喜びもひとしおだったんじゃないんですか?

藤戸:はい。今まで一位になかったこともなかったので、嬉しくもあり、驚きもあり。じわじわ反応が形に表れてきて、実感を噛み締めています。

ーー藤戸さんとしては、どんな要因がそうさせたと思っていますか?

藤戸:実際、音を聴ける環境が大きかったのかなと思います。5年前は、試聴機に入っていないと聴けなかったり、文字だけで何かを伝えようとか、聴くまでにワンクッション、ツークッションあったと思うんです。今回は、SoundCloudで一か月前くらいから試聴できるようにして、そこから反応がすごかったです。あとはTwitterのバイラルがかなり凄くて。

ーー5年前はTwitterも、ここまでメジャーではなかったですからね。そんな中で、音楽活動が出来ないことに対して、ジレンマもあったんじゃないんですか?

藤戸:凄くありました。やりたくてしょうがなかったんですけど、病気でずーっとできなくて。正直な話、音を聴くことさえ出来ない時期もありました。生業が音楽だった人間が聴くことを取られちゃって、絶望……どころじゃなかったですね。今まで当たり前だったものがなくなってしまった時の喪失感というか、自分はこれから何をすればいいのか……僕は元々サラリーマンをしながら音楽をやっていて、メジャーデビューした時も続けていたんですけど、音楽を失った時に目的がなくなってしまって。ソーシャルとかで、友人たちがどんどん成功していく姿を見るのは辛かったしもどかしかったし。で、手術をして、ある程度音楽が出来ることになって、嬉しかったし……うーん、まさかまた音楽が出来るとは思っていなかったです。

ーー身体だけではなく、心まで復活するのには、時間が掛かりましたよね。

藤戸:はい。でも、もしかしたら、心は折れていなかったのかもしれません。必ず戻ってくるって信じていましたし、何年かかっても戻るって、SNSでも発言して、自分を奮い立たせていましたし。何より作品を作りたかったですね。手術後は音を聴くことさえ出来なかったので。それでも曲を作っちゃったりDJやっちゃったりしていたんですけど。ダメだったんですけど、ガマンは出来ませんでしたね。

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