V系シーンのプロモーション最新事情 “戦略”を持たないDEZERTはシーンの特異点となるか?
メディア環境の変化により、従来とは異なるプロモーション戦略が求められている昨今の音楽シーン。そうした状況の変化を意識して、新たな戦略を練るミュージシャンも少なくない。(参考:クラムボン・ミトが語る、バンド活動への危機意識「楽曲の強度を上げないと戦えない」)
V系シーンでもまた、プロモーション戦略はかねてより重視されており、ユニークな施策が多く行われてきた。V系シーンに詳しいライターの藤谷千明氏は、昨今のプロモーション事情について次のように語る。
「V系シーンは、X JAPANがバラエティ番組に出演したり、VHSを無料配布したりといった数々の施策を行って成功を収めたことから、とくにプロモーション戦略を重視するシーンとなりました。近年では、“演奏をしない”というユニークなスタイルとキャッチーな音楽で話題を呼び、ニコニコ動画などを使ったメディア戦略で一躍人気バンドとなったゴールデンボンバーが、その代表格でしょう。7月に武道館公演が決まっている己龍もまた、戦略に長けたグループで、彼らはあらかじめメンバーカラーを設定して覚えやすくしたり、全国47都道府県ツアーを行ったり、ファッションブランドとコラボレーションするなどして、着実に人気を集めてきました。プロモーション戦略に自覚的で、それを公言するバンドが多いのも、このシーンの特徴といえるでしょう」