3rd EP『未来』インタビュー
Drop's・中野ミホ、敬愛する4人のボーカリストを語る「キャロル・キングの持つ包容力が出せたら」
「もう一段階、いろんな人に聞いて欲しい」
——2曲目の「恋は春色」は昭和の歌謡ポップスというか、オールディーズの日本語カバーのような雰囲気がありますね。
中野:オールディーズっぽい曲をやりたいというのはずっとありました。コードを作ったときにキャンディーズとか太田裕美さんのような昭和のアイドルのような可愛らしさも欲しいな、楽しそうだなと思って。けっこうコテコテの歌詞も楽しんで書きましたね。
——たしかに、楽しんで書いていることが伝わってきました。オールディーズ的な曲はコードも含めて、ある種のお約束がありますよね。この曲でいうと、「ディン・ドン・ダン」とか。メンバーはこの曲についてなんと言っていました?
中野:意外と違和感なく受け入れていました。それぞれのソロもこうしてほしいと私が伝えて思い通りになったので、私としてはそれも楽しかったです。
——3曲目の「Purple My Ghost」になると、ブルージーでバンドの特徴もよく出た曲に感じられました。
中野:ギターの荒谷が前から作ってあったリフをバンドに持ってきて、去年の冬くらいにできた曲ですね。荒谷が持ってきたリフがすごくハードだったので、そこからイメージして言葉を集めてきて、自分の言いたいことも含めて書けたかなと思います。楽曲としては、荒谷はハードロックが好きなので、そういうところが曲に出てると思います。
——4曲目には、キャロル・キングの「You’ve Got A Friend」をカバー。原曲のアーシーでせつない、70年代のウエストコーストの雰囲気をバンドでうまく再現していて、キャロル・キングへのリスペクトを感じました。この曲を選んだ理由は?
中野:私はキャロル・キングがすごく好きで、弾き語りのライブでほかの曲をカバーしていたんですけど、今回バンドでやるにあたって、みんなが知っている曲がいいかなと思って、この曲を選びました。キャロル・キングのナチュラルで暖かくて女性らしいところが素敵だと思っていて、彼女の持つ包容力というか、そういう部分が出せたらいいなと思って歌いました。
——ボーカルとして、あるいはDrop’sとして目指すものと、キャロル・キングの音楽は重なるところはありますか?
中野:飾らないところというか、何かを狙っているんじゃなくて、自然体のままでやっている感じですね。そうなれたらいいなと思います。キャロル・キングの作品では『Tapestry』(つづれおり)が好きで中でも「(You Make Me Feel Like)A Natural Woman」が好きですね。
——キャロル・キングはたくさんのアーティストがカバーしているのですが、あの生っぽい雰囲気を出すのは難しいようなイメージがあるのですが。
中野:コードとかもけっこう難しくて、メンバーはだいぶ苦労してたみたいです。ただ、ギターソロは入れたんですけど、「ああしてこうして」というよりは、Drop’sでそのまま演奏したという感じですね。原曲はピアノがメインのようなところがあるので、ギターは荒谷の色を出してもらったほうがいいなと思って。
——今のDrop’sのスタンスが見える今作でしたが、今後、バンドとしてはどのように進んでいきたいですか?
中野:新曲もどんどん作ってますし、もう一段階、いろんな人に聞いて欲しいという気持ちはありますね。ライブでは今年も変わらず自分たちがカッコいいと思うことをやって、見ている人を夢中にさせるライブをやって行きたいと思います。