ニューアルバム『夕溜まりのしおり』インタビュー

動画再生数は7000万回以上! そらるが語る、ネット発音楽のパワーと魅力

「知らず知らずのうちにもてはやされて、祭り上げられて、好き勝手に攻撃されて”」

――0曲目として、そらるさんが書き下ろしたタイトル曲「夕溜まりのしおり」のサビをアレンジした「いつかの君に」が収録されました。1曲目の「カーテンコール」とともに、アニメ『ダンガンロンパ』のテーマ曲「絶望性:ヒーロー治療薬」でもコラボレートしたスズム氏の名前がクレジットされていますが、この構成についてはどうでしょうか?

そらる:「いつかの君に」から始まって、同じフレーズのある「夕溜まりのしおり」で終わる、というのはアルバムとしての世界観を作りたかったからです。スズムとは長い付き合いで、もともと「1曲目をやりたい!」と言ってくれていたので、「じゃあ、アルバムのスタートにしっくりくる曲をお願いするよ」と。彼の曲はこれまでもたくさん歌ってきたので、わりとすんなり入ってきました。

――確かに勢いと中毒性のあるロックサウンドで、気分が盛り上がります。続く「ドレッドノート」ですが、こちらもコラボを重ねているまふまふ氏との共作で、楽しみにしているリスナーも多そうです。ギターのフレーズがカッコよく、自分の弱さと向き合うような歌詞も印象的でした。

そらる:まふまふが作曲で、自分が作詞という形なんですけど、これは去年の夏コミにふたりで出した『アフターレインクエスト』というアルバムでトライしたやり方で。自分では書かない曲調で、タイトルも最初からあったので、歌詞をつけるのは一番大変だったんですけど、まふまふも「前回よりよくなっている」と言ってくれました。作詞自体に慣れてきた、というのもあるのかな。曲に合うように、普段より少し強い言葉になっていると思います。

――激しいロックナンバーでいうと「アノニマス御中」(Neru)、「blue」(Last Note.)が収録されていますが、いずれも“姿の見えない敵と戦う”ような、挑発的でカタルシスのある歌詞になっていますね。

そらる:たぶん、自分のことをそういう風に見てくれているんだと思います。つまり、“知らず知らずのうちにもてはやされて、祭り上げられて、好き勝手に攻撃されて”って。こういう活動をしていればみんなあることでしょうし、自分が特別苦しんでいるとか、そういうことは全然ないんですけど、よく見てくれていて、考えて書いてくれたんだな、とうれしくなりました。こういう曲は自分で作って歌うことができないものだし、ありがたいですね。

――一方で7曲目の「宛らバイバイ」(電ポルP)や、続くそらるさんの書き下ろし曲「残り火」など、温かみのあるサウンドで優しく歌われている楽曲もあり、作品に幅が出ていますね。「残り火」は大切な人との過去を振り返るような切ない歌詞ですが、サウンドからは前向きなイメージも伝わってくるいい曲だと思いました。

そらる:もともとはもっと暗い曲になるはずだったんです。そのギャップを出すために、温かみのあるサウンドにしていて。でも、自分が歌詞を書いていると、最後はつい、前向きなイメージになっちゃうんですよね。最後のフレーズも〈あなたは笑ってくれるかな〉だし、“辛いことはあるけれど、それでも前を向こう”という曲になってしまいました。

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