「千本桜」はなぜ国境を越えて愛されるのか? CTS feat.初音ミクの動画が英語圏で話題を集める背景

 さらに面白いのは、この「千本桜」が去年から今年にかけて海外に広まっていることだ。

 前述のCTS feat.初音ミクによる動画にも海外からと思われる英語のコメントが寄せられている。

 代表曲「Yume Be The Light」に顕著なように、ティエストやアーミン・ヴァン・ブーレンなどトランスのルーツを咀嚼しJ-POPの枠組みの中でアウトプットしてきたユニットがCTSだ。

CTS - Yume Be The Light

 覆面ユニットでありつつCircle(Vo)のエモーショナルな歌声には記名性があり、すでに海外でもファンベースを築きつつある。CTS feat.初音ミク「千本桜」のMVも渋谷慶一郎「THE END」やBUMP OF CHICKEN「ray」を手がけた東市篤憲(A4A)が監督をつとめ、クリプトン・フューチャー・メディアが制作した3DCGモデル「14モデル」の初音ミクが起用されている。そういったところからも話題を集めた形だ。

 また、「踊るヴァイオリニスト」としてアメリカやヨーロッパを拠点に活躍するリンジー・スターリングも、この「千本桜」をカバー。アルバム『踊る!ヴァイオリン』の日本盤ボーナス・トラックに収録されたこの曲はYouTubeにも動画が公開され、やはり海外の彼女のファンから多数の反応が集まっている。

リンジー・スターリング - 千本桜

 また、オランダのハードスタイルを代表するDJで、昨年の『DJ MAG』ランキングでも45位にランクインした実力派DJ Frontlinerも、この「千本桜」のリミックスを発表している。

初音ミク - 千本桜 | Hatsune Miku - Senbonzakura (Frontliner Remix)

 こうして「千本桜」は、いまや様々な形で国境を超えている。

 たとえば、1980年代に世界を席巻したYMOの代表曲「ライディーン」もヨナ抜き音階を駆使した楽曲だ。中田ヤスタカの作曲によるきゃりーぱみゅぱみゅ「にんじゃりばんばん」やPerfume「レーザービーム」もそう。これらを敷衍して考えると、どうやら海外に日本のポップが進出する上で「テクノロジカルなイメージ+ヨナ抜き音階」が一つのキーになっているとも言えそうだ。

 ここ数年、日本でも海外の音楽シーンにおいても、人気曲や定番曲のカバーはポップミュージックの手法として定着してきている。長く歌い継がれる耐久性を持った「千本桜」は、この先もジャンルを超えた様々な広がりを生み出していくのではないだろうか。

(文=柴那典)

CTS『CTS feat.初音ミク - 千本桜』

■リリース情報
『CTS feat.初音ミク - 千本桜』
発売:2015年3月25日
全 7 曲 ¥700(digital only)
<Track List>
01. 千本桜 by CTS feat.初音ミク
02. 千本桜
03. Let It Go(映画:アナと雪の女王 劇中歌カバー)
04. 遥か(GReeeeN / 映画:ROOKIES主題歌カバー)
05. 千本桜(Instremental)
06. Let It Go(Instremental)
07. 遥か(Instremental)

illustration by 虎硬 © Crypton Future Media, INC. www.piapro.net

「千本桜」iTunes:
http://po.st/itctssakura
https://itunes.apple.com/jp/album/id974573797?uo=4&at=10l3LI

■渋谷駅前スクランブル交差点街頭ビジョンにて生ライブ配信決定
3月27日(金)24:00~渋谷PARCO内のソーシャルTV局/2.5Dより、生ライブを配信
※生ライブ配信が行われるのは、渋谷スクランブル交差点街頭ビジョンの109メンズ館に面したグリコビジョンを予定。※当日2.5Dスタジオでの観覧は不可

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