三宅正一の『ELECTRONIC HUMANITY』全曲解説

THE TURTLES JAPAN、1stアルバム全曲ダイジェスト音源公開&最速レビュー(後編)

「JAPANESE SPIRITS pile-up」

 シングルカットされても違和感のない求心力を誇る1曲。そして、「It’s Alright!」のテーマ性を最もダイレクトに引き継ぐ“日本と現代”を真っ向から射抜く楽曲でもある。ライブでもオーディエンスから大きな反応があったのを覚えている。こんな時代にあって、〈日出ずる国 此処が僕らの 夢出ずる場所なんだよ〉と言い切るのは相当な勇気と覚悟が必要だったと思うが、THE TURTLES JAPANの信念が「“心の表面張力”を突き破ること」である以上、こういった楽曲を高らかに鳴らすのはバンドの使命でもある。

「ELE!!!」

 タブラやシタール風の神秘的な音をサンプリング的にフィーチャーしつつ、突き抜けたダンスポップを構築したラストナンバー。平易な日本語で綴られたリリックは、どこまでもポジティブにリスナーを鼓舞する。ラストにここまで曇りのないメッセージ性をたたえた楽曲をもってくることができたのは、それまでの楽曲でシリアスな時代の空気もしっかり捉えてきた自負があるからだろう。ラスト1分の展開は、THE TURTLES JAPANは本作で完結するのではなく、“ネクスト”があることを予感させる。

 YAMAMURAとSAKAIにとっては、flumpoolでは鳴らせなかった音楽性を追い求め、ソングライターとしての新たな可能性を見出だす。
KAMEDAにとっては、プロデューサーではなくひとりのバンドメンバーだからこそ表現できる作曲やアレンジ、プレイに没頭する。
 THE TURTLES JAPANが掲げる"心の表面張力を突き破る”というテーマは、現代日本に向かうだけではなく、各メンバーのミュージシャンシップにも自浄作用をもたらしている。
 本作を聴けば、それは明白だ。とても自由で気勢のある音と歌が鳴っている。

(文=三宅正一)

THE TURTLES JAPAN『ELECTRONIC HUMANITY』(A-Sketch)

■リリース情報
『ELECTRONIC HUMANITY』
発売:2015年4月8日 
品番:AZCS-1044
価格:¥2,300(税抜)
収録曲:
M1. It's Alright!
M2. 10/10
M3. Jerassic
M4. 風花
M5. 十二単
M6. AB LOVE LOVE
M7. JAPANESE SPIRITS pile-up
M8. ELE!!!

■ライブ情報
THE TURTLES JAPAN Zepp Tour 2015 「ELECTRONIC HUMANITY」
4月15日(水) Zepp NAGOYA (問)サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
4月17日(金) Zepp NAMBA (問)キョードーインフォメーション 06-7732-8888
4月21日(火) Zepp DiverCity Tokyo (問)ディスクガレージ 050-5533-0888(SOLD OUT)
【全公演共通】前売料金:5,800円(税込)※ドリンク代別 OPEN/START:18:00/19:00

■Official HP
http://www.theturtles.jp/

■Official FACEBOOK
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