三宅正一の『ELECTRONIC HUMANITY』全曲解説

THE TURTLES JAPAN、1stアルバム全曲ダイジェスト音源公開&最速レビュー(前編)

 

 KAMEDA(音楽プロデューサー・亀田誠治)、YAMAMURA(flumpool山村隆太)、SAKAI(flumpool阪井一生)によって結成された、THE TURTLES JAPANが4月8日に1stアルバム『ELECTRONIC HUMANITY』をリリースし、3日限りのZepp Tourを開催する。現在のJ-POPシーンを賑わせているメンバーによってこのユニットが結成された際には大きな反響を呼んだが、まだ限られた数しかライブを行っていないことや、何かのメッセージを含んでいると思しきインディアン調のアーティスト写真など、その実体はまだ謎に包まれている。

 そんな中、リアルサウンドではいち早くアルバム収録曲のダイジェストとともに各曲のレビューを前編後編の2回に分けて掲載する。書き手はTHE TURTLES JAPANのライブレポート(「謎多きスペシャルユニット、THE TURTLES JAPANの「意志と意義」を見た30分」)を執筆した三宅正一氏。(編集部)

「It’s Alright!」

 THE TURTLES JAPANの第一声となった1stシングルの表題曲。バンドの立ち上げにあたってKAMEDAは「THE TURTLES JAPANのキーワードは“心の表面張力”を突き破ることなんです」と語っていたが、そのテーマ性がここに凝縮されている。高揚感を誘発するシンセのリフと4つ打ちのビートを軸にピアノやストリングスを擁したアンサンブルが、オープンマインドなフィーリングをもって展開されていく。現代をタフに生きる困難とそれを突破しようとする意志を綴ったYAMAMURAのリリックとSAKAIが手がけたメロディの調和が光る。

「10/10」

 タイトルの「10/10」とは、おそらく10月10日を指していて、これは昨年THE TURTLES JAPANが大阪城ホールにて初めてライブを行った日付だ。Bメロの〈10/10を忘れない 忘れたくないんだ〉というフレーズからは、まさにライブの喜びを楽曲に閉じ込めようとしたYAMAMURAの思いが伝わってくる。鷹揚でどこか牧歌的でもあるアメリカンなロックサウンドをデジタル処理したアレンジも楽しい。音楽を軽やかに、自由に楽しもうとするTHE TURTLES JAPANのアティチュードがシンプルに形象化されている楽曲だ。

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