金子厚武がFOLKSの新作を分析
「冬」の空気を閉じ込める、FOLKSの職人的なサンプリング技法に注目
昨年2月に『NEWTOWN』でメジャーデビューを果たした5人組FOLKSが、2枚目のミニアルバム『SNOWTOWN』を発表する。北海道の出身で、今も地元の恵庭市で共同生活をしながら楽曲制作を行っている彼ららしく、本作のテーマはずばり「北海道の冬」。メジャーデビューに伴い道外での活動が増えたことによって、北海道出身という自身のアイデンティティを改めて見つめ直し、全7曲の中に様々な景色を浮かび上がらせている。
FOLKSの特徴はバンドでありながらクリエイター集団的な側面を持っていることで、ドラマーが存在せず、各メンバーが複数のパートを担当する。曲作りにもそれぞれが長所を生かしつつ関わるため、編曲のクレジットには楽曲ごとに複数人の名前が並ぶという、職人的なバンドなのだ。本作では同郷の先輩でもある砂原良徳をプロデューサーに迎えているが、砂原と言えばやはり職人的な音作りが最大の魅力で、その意味でもバンドにとっては大先輩。“冬の向日葵”では砂原がリズムトラックを担当し、その磨き抜かれたクリアかつミニマルなトラックによって、凛とした空気を作り出している。
また、オープニングを飾る“CAPITAL MORNING”も印象的で、アフロビートを用い、クラップも交えてトライバルなリズムを作り出しつつ、うわものには浮遊感のあるシンセ、さらにはゲストに迎えたラブリーサマーちゃんのボーカルを加えることで、極寒の中でもエネルギッシュに生きる人々の生活を表現しているかのよう。作品全体がBPM120~130ほどに統一され、グルーブが重視されているのも、速いBPMの曲で一気に爆発するのではなく、ジワジワと体が温まっていくような感じが、やはり冬のムードを演出している。