嵐・二宮和也はどんな音楽的挑戦をしてきた? 作詞・作曲も手がけたソロ曲を振り返る

 『Beautiful World』(2011年7月)には、ピアノと二宮の歌声で静かに幕を開ける「どこにでもある唄。」を収録。こちらも二宮が作詞・作曲を手がけた人気曲で、中盤からのドラマチックな展開が聴きどころの壮大なバラード。メロディ、歌詞ともにシングルカットにも耐えうるクオリティで、二宮のシンガーソングライターとしての才能が大きく花開いた一曲といえるかもしれない。

 『Popcorn』(2012年10月)の「それはやっぱり君でした」は、「虹」のアンサーソングともいわれ、二宮が作詞を、若手シンガーソングライターの大知正紘が作曲を手がけている。切ないメロディが泣かせるバラードで、ビブラートやファルセットなどの歌唱テクニックもぐっと上達していることが感じられるだろう。

 タイトル通り“愛”をテーマにした『LOVE』(2013年10月)では、家族への愛を歌った「20825日目の曲」という楽曲を披露。軽快なポップスに合わせて、気負いのない伸びやかな歌声を響かせていて、温かみがありながらも二宮の飄々とした一面も垣間見える仕上がりだ。

 最新作の『THE DIGITALIAN』(2014年10月)では、“デジタルと嵐の融合”をコンセプトに掲げ、EDMやブレイクビーツを大胆に取り入れた同作において、異色ともいえるポップチューン「メリークリスマス」を投入している。ニコニコ動画やYouTubeで人気のピアニスト・まらしぃを迎えた同曲は、疾走感のあるビートと、クリスマスらしいきらびやかでキュートなメロディラインが特徴で、あえて打ち込みを使わないところに二宮らしいヒネリが感じられる。全体的にテクノ色が強いアルバムに色を添えた作品といえよう。

 二宮のソロ曲を通して聴いてみると、自身の歌声を活かした良質のポップスを追求しつつも、ところどころで遊び心が感じられ、いわゆる“巧い”シンガーソングライターとはまた異なる魅力を感じられる。音楽的素養にも恵まれた彼が、次はどんな作品に挑戦するのか。早くも期待が高まる。

(文=松下博夫)

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