西廣智一が乃木坂46の11th選抜を分析

乃木坂46の今後を3つの観点で予想 新選抜メンバーに期待されることは?

3. アンダーメンバーの飛躍とアンダーライブの今後

 選抜枠が16枠から2枠増えたことで、少なからずアンダーメンバーにチャンスが巡ってきた。今回は研究生の相楽伊織が初選抜入り、そして伊藤万理華と齋藤飛鳥が7thシングル「バレッタ」以来の選抜復帰となる。まず相楽の選抜入りについては、「乃木坂46第2章」における研究生(2期生)の底上げ、知名度アップの布石になるのではないだろうか。もちろん彼女よりも人気、実力が上の研究生はいる。しかし話題性という意味では相楽がこのタイミングで選ばれたほうがトピックにしやすい。また、ほかの研究生よりも1年遅れてグループに加わったことでいまだに謎の面が多かった彼女だが、今後メディア露出が増えることでその見た目と違ったフワフワしたキャラが浸透していくことだろう。彼女の魅力の1つに「見た目と中身のギャップ」が挙げられるだけに、この絶好のチャンスをぜひ生かしてもらいたい。

 そして齋藤と伊藤の、約1年ぶりの選抜復帰。2人は2014年は一度も選抜入りすることなく、同年にスタートしたアンダーライブに立ち上げから参加して着実に実力を高めていった。そんな“種蒔きの1年”を経てつかんだ今回のチャンスを、2人がどうモノにしていくのかにも注目が集まる。すでにアンダーライブには欠かせない、人気・実力を兼ね備えた2人が選抜常連組を脅かす存在であることは間違いない。選抜の中でも3列目という比較的目立たない(あるいはメディア露出の点でも十福神より出番が少ない)立ち位置ながらも、“種蒔きの1年”で培った実力ができるよう心から願っている。

 最後に、齋藤と伊藤が抜けたアンダーメンバーがもし11thシングルタイミングでアンダーライブをやった場合、どうなってしまうのかにも注目が集まるところだろう。昨年秋の2ndシーズンではセンターとしてグループを牽引した井上小百合、そして年間を通じてアンダーメンバーをまとめてきた永島聖羅と同じくらい、齋藤と伊藤にもアンダーメンバーを引っ張ってきたという自負があるはず。見方によってはピンチともチャンスとも取れるこのタイミングに、井上や永島、さらにはほかのメンバーがどう動くのか。もしかしたらその鍵を握っているのは研究生なのかもしれない。昨年後半に数名が卒業し、さらに今回のタイミングで相楽が選抜入り。これまでの例からすると、恐らく相楽はここで正規メンバーとなるはずなので、現在の研究生から数名がアンダーメンバーに昇格するだろう。そういった研究生たち(相楽も含む)が、もっと伸び伸びと、自由に動くことで乃木坂46は変わっていく。失敗を恐れずに、もっとグループ内をかき乱してほしい。現状のグループの活性化にはそれが大きなポイントとなるはずだから。

 ……以上、3つの観点から11thシングルに秘められた乃木坂46の今後の可能性について語ってみた。現時点では11thシングルの詳細は何も発表されていない。過去の例から予想すると、恐らくリリースタイミングは3月から4月の間になることは間違いない。世の中的にも新学期など新たなスタートにピッタリな時期とあって、これから乃木坂46がどんな道を歩んでいくのか。今はただ楽しみでならない。

■西廣智一(にしびろともかず) Twitter
音楽系ライター。2006年よりライターとしての活動を開始し、「ナタリー」の立ち上げに参加する。2014年12月からフリーランスとなり、WEBや雑誌でインタビューやコラム、ディスクレビューを執筆。乃木坂46からオジー・オズボーンまで、インタビューしたアーティストは多岐にわたる。

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