『From My Messy Room』リリースインタビュー

Annie The Clumsy&西寺郷太インタビュー「鼻で笑えるような音楽を作りたい」

Free as a bird - annie the clumsy

「別に歌で誰かを幸せにしたいとは思ってなくて」(Annie)

――あとプロフィールに<フライト・オブ・ザ・コンコルドに触発されて本格的に曲作りを始める>って書いてあったんですけど、コメディバンドに強い影響を受けてるというバックグラウンドも相当めずらしいですよ。

Annie:だから歌詞も下品なものが多いんですよね(笑)。音楽って愛や失恋のことを歌わなくちゃいけないと思っていたんですけど、フライト・オブ・ザ・コンコルドを聴いて「あ、何を歌ってもいいんだ!」って。別に歌で誰かを幸せにしたいとは思ってなくて、鼻で笑えるような音楽を作りたいんです。掃除中に聴いたりして、鼻で「フッ」と笑えるような。フライト・オブ・ザ・コンコルドはもうすべてが面白くて、外でひとりで聴いていても肩を震わせて笑っちゃうぐらい。やっぱりユーモアがあるのがいいですよね。海外だとウクレレを弾くコメディ・アーティストって結構いて、彼らもそうですけど演技もやったりするんですよ。私がやりたいことを全部やってるから惹かれるんでしょうね。だからシー&ヒムも大好きで、ズーイー・デシャネルは私にとって女神です。

――シー&ヒムが好きなのはSoundCloudのカバー曲の選曲からも伝わってきましたよ。ほかに好きなアーティストっています?

Annie:フィオナ・アップルとかケイト・ナッシュとか、女性のシンガー・ソングライター系が好きですね。

――あー、フィオナ・アップルもそうですけど、僕はアニーさんの音楽を聴いていてレジーナ・スペクターを連想しました。

Annie:レジーナ・スペクター、大好きです! 映画のワンシーンで流れるような曲が好きなんですよね。

――あとはチープな録音状態も含めてアノラック系に通ずる良さもありますよね。パステルズやマリン・ガールズのあの脱力感。

西寺:僕はもともとヤング・マーブル・ジャイアンツとかヴァセリンズとか、アノラック系がすごく好きだったんですよ。コンテストの流れで作った自主制作のアルバム(2013年の『Annie Volume 1』)はそういう良さが損なわれてしまって彼女自身不本意な部分もあるみたいですけど、今回、僕的には仮にオーディオ的に粗悪な音でも気持ち良かったらそれでいいと思っていて。

――そういう経緯を聞くと、『From My Messy Room』ってタイトルは本当によくできていますよね。アニーさんのパーソナリティを端的に伝えるフレーズであると同時に、アニーさんのアーティストとしての素材の良さを知ってもらいたいという意味でもしっくりくるし、前のアルバムを踏まえると、<汚い音かもしれないけどこれがわたしの本当の音楽なんだよ>と解釈することもできますから。この『From My Messy Room』の制作にあたって郷太くんからのアドバイスは何かありましたか?

西寺:カバー曲を何曲か入れてほしいということと、最初から同じような内容で「双子のアルバム」を2枚作ろうって言っていたので曲数をあんまり増やさないようには意識してましたね。曲そのものに関してはなんにも言ってないです。

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