FORWARD・ISHIYAが横浜のインディーレーベルを訪ねる

横浜ハードコア・PILE DRIVERが語るパンク観、そして所属レーベルmicroActionが目指す理想とは?

復活後のPILE DRIVERの音楽性

PILE DRIVER"La Vida"

ーー初期の頃の曲と、復活してから出したアルバム『TURN ANGER INTO LIGHT』や今回の『EXIT OF THE CITY』は、PILE DRIVER節ではあるんだけど、アプローチの仕方が変わったように思う。どういった心境の変化でそうなったの?

ICHIRO:曲はORIちゃんやSENも作っているけど、大体は俺で、歌詞も全部俺が作っている。ドラマっていうか起承転結、人が生きている上で出てくるものを、ドラマチックっていうほどじゃないけれど、もうちょっと出せるかなって思って、そういう曲調になっている。

KINTA:全部、自然に出てくる感じなんですよ。ハードコアを意識しているのかどうかはわからないんだけど、フレーズが出てきて、それをみんなのところに落として、みんなでいろいろ言いながら当てて行くっていうやり方をしている。そうすると、だんだんとハードコアな曲調に近づくって感じですね。

ICHIRO:言いたい事を言うために乗せる曲じゃなくて、自然に出てきたものだっていうところが、アプローチが変わったように聞こえるところだと思う。

ーーなるほどね。それまではハードでイケイケな感じだったけど、人間の心情というか、人としての気持ちが非常に伝わるものになってきてるよね。前作までの「MUSSCOMUNICATION T.V.FUCK OFF」とか「BASTA DE BOMBARDEOS」みたいな直接的な曲も、PILE DRIVERの良さであり味だと思うんだけど、今回の作品にはそこまでストレートな曲はないよね。

ICHIRO:言いたいことは心で言おうって感じになったんですよ。対象を批判したりもできるけど、そうではなくて、人の気持ちを大切にしようと思った。言葉と同時に曲も考えているから、そうなるのかもしれない。

ーー「SPACE-COLONY KIDS」って曲以降、自然を題材にした歌詞が多くなったよね。

KINTA:活動停止していた頃に、一気に自然とかそっちの方に意識がいくようになったんです。

ーーハードコアとかパンクで、ああいう言葉や感覚で表現するバンドって、ほかにないと思う。こうじゃなきゃいけないとか囚われてなくて、本当の意味でパンクだと思うよ。

ICHIRO:パンク=人って考えた時に、人=何かっていう考えにいたって、それが社会とか未来に繋がっていったんだよ。だから、パンクから分裂しているわけではないし、そういうところはちゃんと出したかった。向こうが暴力で来るなら、こっちは愛で行く、みたいな感じかな。

ーー前作の「SUERTE」では「目的地にはもう着いた」と、今作の「SLEEP」では「俺達には答えがある」と歌っているけれど、その目的地や答えというのはどういうものなの?

ICHIRO:答えというか、周囲からの影響によっていろんなことが変わっていったうえで、今こういう状況に恵まれているのだから、もともと自分の中に理想はあったんですよね。それがだんだんと見えてきている。「PROTEST & RESISTANCE」って曲では「理想と栄光のもとに」なんて歌っているけれど、それは何もわからないで言ってるんじゃなくて、こういうものなんだろうなって思って出している。自分で見つけたものをちゃんと持っていて、それを出すっていうことだよ。

ーーなるほどね。言葉選びも、たとえば「反戦」みたいなスローガンを掲げる感じではないよね。

ICHIRO:反戦を訴えるのに「反戦」って歌うだけじゃ、戦争を止める事自体が目的になるじゃない。もし戦争を止めようと思ったら、まずは人の心を変えなきゃいけないから。本当の目的地に辿り着こうと思ったら、右に曲がったり左に曲がったりして、ちゃんと「道」を通っていかなきゃいけないと思うんだ。

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